最弱テイマーのしあわせご飯

双葉鳴

最弱テイマーの貧乏ご飯

第1話 サポーターのシン


「シン、今日の駄賃だ。大事に使えよ」

「ありがとうございます」


渡された小銭を大切そうに受け取りながら、使い古された革の鞄に仕舞い込む。

シンはここ、シーカーズギルドにおいて1番下っ端のポーターとしてその名前を覚えられていた。


「ぴき!」

「ピッキーもお疲れ様。今日の稼ぎで少しはマシなご飯を食べられるね」

「ぴきー!」


相棒のピッキーに話しかけられながら、シンは屋台で串肉を買った。

乱雑に切られた何の肉かはわからないそれを甘辛いタレに漬け込んだものである。

金の稼げないシン達にとってそれはご馳走の部類だった。


熱々の串を大切そうに平らげ、少しだけ肉を残してピッキーに串ごと渡す。

ピッキはーお腹の中で串ごと溶かしてしまった。

シュワシュワと泡立てながら消えていくその光景はシンを惚けさせるのに十分な魅力で。


「それじゃあご飯食べたら次の仕事行こうか?」

「ぴき」


いつまでもぼうっとしてられない。ピッキーを肩に乗せてシンは前を向く。

貧乏人に暇はないことをシンは幼いながらに理解していた。

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