また、マジの仕事の話です!
崔 梨遙(再)
1話完結:1600字
求人(採用)に関しまして、また書こうと思います。
求人広告は、職種によってポイントが異なります。求める人物像も変わります。その中で、今回は営業職に関して書くことにします。
まず、何を売るのか? 売らされるのか? 明確にする必要があります。商品やサービスなどを売るのでしょうが、“この商品は求められているのか? 売れそうなのか?”とか、“この商品を自分が売れるのか? 自分に向いている商品なのか?”とか、“自信を持って売り込めるほど良い商品なのか?”などといったことをターゲットの人材が考えるからです。なので、取り扱い商品を明確にする必要があるのです。誰だって、わけのわからないものを売るのは無理ですから。
そして、誰に営業するのか? これも明記しておく必要があります。法人向けの営業なのか? 個人向けの営業なのか? この違いは大きいんです。営業のやり方も変わります。ちなみに、僕は法人向けの営業しか出来ません。個人向けの営業は苦手です。新聞の営業を手伝ったときに、“これは僕には向いてないな”と思いました。
後は、新規開拓営業なのか? ルートセールスなのか? これも大事です。新規開拓営業の方がしんどいというイメージはありますが、向き不向きというものがあります。ルートセールスの方が人気が(一般的には)あるのですが、僕は新規開拓の営業が好きです。ルートセールスは嫌です。こんな人間もいるんです。
更に、報酬に関してです。特に新規開拓には必要だと思いますが、歩合やインセンティブがあるなら、その点も書いておいた方がいいでしょう。みんな、収入には敏感ですから。なので、具体例を出したりします。“入社〇年目、年収〇〇〇万円”といった感じです。もしくは、平均年収を書くのもいいかもしれませんね。
広告には、こういうことをポイントとして押さえなければいけないのに……ここからは僕の失敗談です。
僕のお客様が営業職の求人広告を出すことになりました。ところが、お買い上げの枠(スペース)が小さくて、上記のように押さえておきたいポイントを全然書き切れないんです。もう1サイズ上なら、倍の情報量を載せることが出来ます。僕は、その会社(社長)のことを思って進言しました。
「……といったことを書ききらないと、営業職の場合、応募者は極めて少なくなります。もう1サイズ上、もう1サイズでいいんです。枠を大きくしませんか?」
「大丈夫だ、俺には俺の考えもあるし、成功するという確信もある」
「どこから来る確信なんですか? 応募を期待できない16万より、応募に期待出来る26万の方がいいと僕は思うんですけど。この原稿では難しいですよ」
「いいんだ、それで頼む」
考えた挙げ句、その求人情報誌の巻頭特集にその企業を載せられるように手配した。この巻頭特集と合わせたら、この頼りない求人広告でも威力は倍増するはずだ。僕はそのことを社長に知らせに行った。
「悪い、出張に出るから、広告を出すのは1週間ずらす」
「ダメですよ! 巻頭特集という援護射撃が出来なくなってしまいます」
「だって、応募が来ても対応出来ないんだから仕方ないだろ?」
「“応募開始は○○日から”と1行だけ付け加えたらすむことじゃないですか」
「ダメ、もう決めたんだから」
巻頭特集の号から1週間遅れの頼りない求人、やっぱり応募は2名。1名採用。採用した1名は1週間で辞めるという最悪の事態になった。
「どうなってるんだよ!」
「だから言ったじゃないですか!」
ポイントを押さえられていない求人広告はやっぱり失敗した。押さえるべきポイントを押さえて書かないと応募が来ないという、嫌な経験をした。その後、“これでは応募は来ない!”と思ったら、とことん説得するようになった。説得しても応じてもらえなければ、申込みを断ったこともあった。もう、お客様に損をさせたくない。
また、マジの仕事の話です! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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