第7話:まずはそうだね、一緒に買い物に行こう!
兄は頭を抱えて盛大な溜め息をついた。
「困ったなあ……!セティ、君は本当に、傾国の美女、『魔性の女』だったんだよ。君は君が望むと望まないに関わらず、数々の男の人生を狂わせてきた……兄であるこの僕だってね、君のおかげでどんなに苦労をさせられたか……。でも、だからこそ、生まれ変わった君に、以前のセティがどんな女だったかは、できれば知られたくないんだ……」
兄はそんなことをぶつぶつ言っていたが、切り替えるようにふと顔を上げた。
「よし。まずはそうだね、一緒に買い物に行こう!君をまさか一人で出歩かせるわけにはいかないから、君たちの着替えは僕が一緒に買いに行くことにする。さもなければ君はまた、どんな男を引っ掛けるか、分かったもんじゃないからね」
「ず、ずいぶん酷い言いぐさね……」
いったいどんな女だったんだ、恐ろしい……。
この、セレスタ・クルールなる女……。
「だけど、本当にその通りなんだよ、本人が望んでいたか、望んでいなかったかは僕にももはや分からないんだけどね、三歩歩けば男に声を掛けられるような、フェロモンダラダラの女の子だったんだよ……ティーンエイジャーにしてすでにね……」
兄はげっそりとした顔をしている。
「今度こそ変な虫が付かないように、本当に気を付けなけりゃ……!」
なるほど、それならばお兄さんがこんなに過保護になる理由も頷けるかも……。
せっかく異世界に転生したんだから、今世こそは娘を幸せにして自分も幸せになる!と宣言したばかりだと言うのに、転生した先がこんな女だなんて、本当に、前途多難だわ……。
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