第2話ここはどこ?私は誰?
「す…おじょ…ご…の…じ……すよ」
誰かが私に話しかける。なんだ、何を言ってるのだろうか?
カチャ…
口に何か硬いものが入れられ、口に何かを残し離れていく。
おいしい
……ん?いや、まずいな!?
ビキーン!!!
電流が走るような、全身を何かがつながったような感覚を受ける。
「お、お嬢様大丈夫ですか!?」
左手にいるエプロンを着たおばちゃんが声をかけてくる。
「タバサ?」
反射的に声が出た。そう、この人はタバサだったはず。
…?
なぜ知っているのだろうか?えーと、確か誰かがそう言ってたはずだ。
誰が?
?
…ダメだ、具体的な状況が思い出せない。
「い、今、私の名前を言った!?」
驚いた表情のままおばちゃんが近づいてくる。
「お嬢様!私の名前が分かりますか!」
「タバサ…だったよね?」
確証がないが確信はある名前を告げる。
「お…」
「お?」
「奥様―!大変ですー!お嬢様がぁー!!」
すさまじい声量とともに部屋から飛び出していった。
「な、なんだったの…」
対面であんなに取り乱されることなど初めてで呆気に取られる。
少し冷静になり部屋を見渡してみる。
これは…ベッドで寝ていたのだろう。ベッドの端には柱があって…これは天蓋?どうやらとてつもなく豪華なベッドで寝ていたみたいだ、布団も肌触りがきめ細かく軽い。
「まるでお姫様みたいだな」
ん?何か違和感があるような…?
得体のしれない感覚に不安を覚える。
(とりあえず布団を出よう)
ん?
足を垂らしても地面につかない。
(お高いベッドって足が高いんだなぁ…)
足を延ばして地面につき、とりあえず部屋を歩き回ってみる。
クローゼットに机椅子、大きな二枚ドアに丸模様の窓、なんだか海外旅行で行ったイギリスの雰囲気を感じる。
「そういえばなんか視線低い?」
違和感が結実する。そうだ、そういえば全体的に物が大きいのだ。
納得すると、なんだか巨人の家にやってきたみたいで少し怖い。
「とりあえず情報を整理しよう!」
なんだか冷静になれていないような気がする、こういう時こそしっかりと腰を据えて考えなければ。
「ここは……どこだろう?えーと、最後に起こったことが…?」
・・・
あれ、なんかやばくね?
簡単な問答のはずなのに答えることが出来ない。
「えーと、私の名前はティア…、職業は水島製鉄の商品開発に営業……」
私今なんて言った…?
俺の名前は大垣翔太郎29歳、でも私はステラティア…。そういえば言語も違うような…?
にぎにぎ
手を握る。小さな手、私の手。
髪を手で解く。わぁ、綺麗なブロンド、いつもタバサが綺麗してくれるから。
・・・
・・・
「…これ、異世界転生?」
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