転生先はお嬢様

@gaiatukiatu

第1話プロローグみたいな

俺の名前は大垣翔太郎、地方の工場で働くしがないお兄さんだ。

年は29、29でお兄さんは無理があると言う人がいるかもしれないが許して欲しい。

30になったらいよいよ声高に言えなくなるのだから、まあ…

「おっさん…には……なれん…かった…か…」

全身に広がる倦怠感。力が入らない。腕を動かそうにも熱が感覚をはぐらかす。

トラックに轢かれた。

昨今、異世界転生ものでしか聞かないようなものにまさか当事者となってしまうとは。

車で出勤し駐車場から会社に向かうまでのほんの数mの公道、登校中の小学生3人組を庇って轢かれてぶっ飛ばされ。

(まあ…ここ…見晴らし悪いもんなぁ…仕方ないよなぁ…)

意識が朦朧とする。もう目を開けるのも億劫だ。

(たぶんうちに荷物を運んでくれているトラックだろうなぁ…こんなとこで事故って可哀そうに…。あの子たちもトラウマになってないといいなぁ…)

死の淵に立つと人間意外と自分を顧みないらしい。まあ、なるべく人に関わらず自分勝手に生きて来たからな、後悔はない…あぁ、でも…

(父さんと母さんに全然返せんかったなぁ…)

一抹の後悔を残し、私は眠りについた。


「ここは…?」

私の意識は、分からない、ただ分からない、そんな場所にあった。

何だろう、とても清々しい、全ての重りがなくなったような感覚だ。今ならなんでも出来るだろう、まあ何もしないが。

ここではただあるだけでいい、それが答えだから。

直後、何か強烈な光に照らされた。

質量を持つような光に圧倒される。すさまじい、神々しい、その言葉そのもののような光の洪水。そしてそれの中心にいるものは…

「きれい…」

ああ、あれはきっと神様だ

そんな確信とともに私の意識は暗転した。

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