悪人正機電脳処刑録 ~15歳最強天才銀髪美少女教師の中の人は「増殖バグが使える最強のバ美肉社畜」~
🔰ドロミーズ☆魚住
バ美肉転生機生プロローグ(1/4)バ美肉先生編
「あのさ」
「何だ」
「マキナ先生さ」
「美少女だよな」
「それな」
2050年の近代日本であればどこにでもあるような学生食堂のテーブル席にて、学校指定のブレザー制服を着用した男子生徒2人が醤油ラーメンを啜りながらそんな会話にふけっていた。
「正直言ってさぁ。俺がこの専門学校に入って良かったなぁと思った理由の99%がマキナ先生」
「無理もねぇ。あんな綺麗な銀髪と一緒に揺れる乳に興奮する男子、いる?」
「いねぇな。だが控え目に揺れる尻を忘れるなよ我が友」
「そうだったな。流石は我がズッ友。目の向け所が余りにも変質者だ」
「褒めてもラーメンは分けねぇぞ。ところでお前さ、あのクラスには美少女がたくさんいるけどさ……1番に付き合いたい人って……誰だ?」
「マキナ先生だな」
「今日からお前は俺の恋仇だ。いつの日か後ろから殺してやる」
聞く人によっては顔をしかめるような、まだまだ未成年の男子ならではの際どい発言は醬油の風味漂うラーメンが啜る音と、食事時ならではの周囲の喧騒によってかき消されていく。
昼の時間帯になれば数多くの学生たちが男女問わずに詰めかける食堂であるのだが、不思議な事にこの男子生徒2人の周囲の椅子に座ろうとする人はいなかった。
その理由は恐らく、彼らの会話内容が常識人にとって余りにも理解が難しいものだからだろう。
「やはり――おっぱいか」
「そうだ――おっぱいだ」
「だよなぁ。あのおっぱいで未成年は無理でしょ」
「マキナ先生、15歳。うーむ、こうして言葉に出すだけでなんてエロい響きなんだ。あんな美少女なのにA級エグゼキューターで高給取りの国家お抱えのエリートサイバーエージェントって、いよいよ天は二物を与えずという言葉が怪しくなってきやがるな」
「天才銀髪美少女先生の時点で属性過多が過ぎるだろ。実際、この前にこの学園にやってきたウイルス、全部倒したのってマキナ先生らしいぜ?」
「あー。1か月前だっけか? 学園の周りを囲ってる
「そうそうソレソレ。あの人、あんな優しそうでエロいのにいざ電脳戦闘をすればすっごくカッコイイんだよなぁ。仕事人というか……」
「――処刑人、だろ? 戦闘中の冷徹で冷酷な目つきから繰り出される無駄が一切ない動作の数々が本当にエロくてカッコイイ。機械染みているというか機械の方が人間味があるレベルで怖い……だが、それが良い。そして戦闘中に揺れるおっぱいがそれはそれはエロい」
「分かっているじゃねぇか我がズッ友」
「俺たちのマキナ先生は最強だからな!」
「俺たちのじゃなくて、俺のマキナ先生なんだよなぁ……でもやっぱり良いよなぁ、A級エグゼキューター。固定給と歩合給を合わせて大体100万の月給なんだろ?」
「らしいな。もしもお前に100万の給料があったら何に使う?」
「マキナ先生と結婚する為の結婚指輪を買う為に貯金の一択」
「ははは。俺と同じじゃねぇか流石はズッ友。頼むから死んでくれねぇかな。お前がマキナ先生が好きな理由はどうせ顔だろうが。そんな最低なヤツにマキナ先生を託せねぇよ」
「ふっ、勘違いするなよ我が友。俺は人を能力だとか職業だとかで判断しねぇ。俺が人を判断するのは――おっぱいだけだ」
エグゼキューター。
そんな2050年の近代日本において一般常識と化した職業の事について学生2人が議論をしている最中――不思議な事に学生食堂内での喧騒が一瞬だけ静まり返り、一瞬にして先ほど以上の喧騒を発生させる。
「ん? 何だ急に突然騒がしく……って、マキナ先生⁉ なんでマキナ先生が食堂に⁉」
「そりゃあマキナ先生でもメシは食うだろう⁉」
「だけどさぁ⁉ コンビニでサラダチキンとアボカドを毎日食ってそうなあんな美人の先生がこんな庶民の空間にいたら庶民が死ぬだろう⁉」
「それはそうかもだけどさぁ……! マキナ先生ってお昼何を食べるんだ……⁉ 余りにも気になり過ぎる生徒が多すぎる所為で学生食堂内がモーセの海割りの再現VTRになっていやがる……!」
少年2人の視界にもはっきりと映るぐらい、周囲から人を遠ざけるほどのオーラを放つ銀髪の美少女が優雅に食券片手にゆっくりと歩いている。
マキナ先生と呼称される彼女の顔面はまさしく人間国宝のソレ。
道行く人間やAIに尋ねても、よほどの捻くれ者でない限り彼女の事を誰しもが超絶美少女と誉め讃える事は想像に難くない程の美貌を有する事を彼女は許されていた。
アメジストを思わせるような大きな紫色の瞳。
透き通るような白磁のような肌に、遠目から見ても分かるぐらいの大きな
モデルのように細身ですらりと伸び、黒タイツで覆われた細い脚。
細く整った鼻梁と、芸術品を思わせる顔の輪郭線。
上品さと初々しさと柔らかさを連想させる桜色の薄い唇。
色白なことも相まって、いかにもな深窓の令嬢といった雰囲気。
「マキナ先生を見たショックの所為で食券や定食を落として下半身を隠す野郎もいるが……無理もねぇ……! あんな顔面国宝女教師が笑顔で『こんにちは』って言ってきたらそりゃそうなる……! 俺もそうなる……!」
「クソっ……! あんなどこにでもいるようなビジネスウーマンみたいな服装が逆にエロい……! あんな格好を未成年がしている事が逆にエロスを感じる……! マキナ先生は俺たち男子生徒を殺す為だけにこの学校に来たのか……⁉」
「ありがとうございます……!」
可愛さと綺麗さと美人さがバランス良く同居しているとでも言うべきか。
世界で1番顔がいいのは誰かというアンケートがあれば余裕でランキング上位に組み込みそうな顔面をしていそうな、そんな彼女が食堂を一瞬にしてファッションショーのランウェイにしてみせて……食堂を管理するAIがマニュアルに従って機械的に作り上げた出来立ての定食を貰い受けると、どこに座ったものかと言わんばかりに周囲を見渡す。
1人の銀髪美少女が困り顔をしながらキョロキョロと見渡し――何か良いものを見つけたかのように花咲く笑顔を浮かべながら、足早で男子生徒2人の机の元にやってくる……否、襲来してきた。
「こんにちは。隣、空いてる? 良かったら一緒にご飯食べない?」
「はいもちろん当然いいですよ」
即答だった。
異口同音だった。
当然だった。
「ありがとう、とても助かった。いつもならお気に入りの
「蕎麦屋がストライキ……?」
「うん、創立以来最低評価☆1を死守し続けている蕎麦屋。店長AIの接客態度は最悪なんだけど味は文句なしの☆5。味があって美味しいんだ」
「なるほど、だからマキナ先生は蕎麦定食を頼んで……」
「うん、コロッケ温蕎麦。銀髪みたいで美味し――ごめん言い間違えた、普通に美味しいよね」
「え? あ……え?」
「ふふっ。今、コロッケ蕎麦を食べるなんて子供っぽいって思ったでしょ? 確かに私はキミたちの先生だけれども、これでも15歳の乙女なんだけどなー?」
まるで同級生のような気軽さで、だけども大人のような余裕と自由らしさを醸し出している彼女は笑顔のままで男子生徒2人と仲良く談笑し、ついには頂きますと両手を合わせて蕎麦を啜る。
「……んっ……んんっ……んんぅ……」
「エッロ……」
即答だった。
異口同音だった。
当然だった。
「……ふぅ、ご馳走様でした。うん、学校の蕎麦もすっごく美味しい。特に見た目が良い。これは今後も食堂に顔を出すべきかもしれない」
「是非そうしてください」
「今後も人避けの結界を張っておきますんで」
「結界? 何かとても少年心がくすぐられるワードだけど一体全体、何の事……って、なるほど。何かおかしいなと思ったらやっぱり私が原因なんだ。確かに私は誰もが見惚れるような銀髪を有する美少女ではあるけどね……」
「自覚あるんだこの人」
「自覚ない方がおかしいだろ」
「あはは、自覚があってごめんね? 私、これでも天才銀髪美少女先生兼A級エグゼキューターなものだから。うん。何回聞いてもテンションが上がる肩書き……っと、いけないいけない。次の授業の準備をしないとだった。
「ま、マキナ先生が……⁉」
「俺たちの名前を……⁉」
慌てふためく男子生徒2人に、きょとんとした表情を浮かべる女教師1人。
先に表情を笑顔に変えたのは白色のブラウスを着込んだ銀髪美少女だった。
「先生なら自分のクラスの生徒の下の名前ぐらい覚えていて当然でしょ? 弥生くんはこの前のプログラム基礎の小テストは満点だったし、三春くんは小テストの点数は悪いけれども授業態度は満点。うん、2人とも新任教師の私なんかにはもったいないぐらい素晴らしい生徒だ」
すっごく期待しているからこれからも無理しない程度に頑張ってね、と誰にも聞こえないように耳元で囁き、耳と鼻から血を流す男子生徒2人の殺人現場を笑顔で後にした銀髪美少女は軽い足取りで職員室に戻ろうとし――。
「……むぅ。デザート、食べたいな……」
すっごく困ったと言わればかりの難しい表情を浮かべて、周囲をキョロキョロと見渡す銀髪美少女教師。
そして、彼女は意を決したと言わんばかりに男子禁制の女子トイレの方に歩を進める。
「中は……誰もいない」
女子トイレに入り、室内に誰もいない事を確認した少女はほっと胸を撫でおろす。
余りにも緊張している所為か再確認と言わんばかりにまたもや女子トイレの中を見渡し、本当に誰もいない事を確認しては安堵の溜息を零した彼女は……まるでいけない事をするように女子トイレの個室の中に入り、鍵をかける。
「……よし」
長時間座れる椅子とは言い難い西洋式のトイレの便座にゆっくりと、優雅に、腰を下ろし、彼女はもぞもぞと身体を動かし――ソレを手に取る。
「……えへへ……! 頂きます……!」
先ほどの男子生徒2人に見せた笑顔とは桁違いの、見る人によっては連続殺人事件を引き起こしてしまうほどの破壊力の笑顔を浮かべながら、彼女は手に取ったソレを口に咥える。
「ん~~~!!! んふ、んふふふ……! ぺろ……! ぺろぺろ……! ふふっ……ふふふふ……!」
至福の一時を感じているのであろう彼女の顔はそれはそれは笑顔だった。
満足そうにソレを舐めている彼女は言葉らしい言葉を発していないのにも関わらず、人生で最高の瞬間を味わっていると言わんばかりに雄弁だった。
「えへへ……! 美味しい……!」
彼女が年相応の笑顔を浮かべながら、美味しそうに咥え、舐め回し、しゃぶりついている食後のデザートの正体は――。
――自分の銀髪だった。
「美味しい……! 銀髪美少女、美味しい……!」
女子トイレの個室の中では、見るものが見れば誰しもが理解を拒むようなおぞましい光景が繰り広げられていた。
つい先ほど数多くの生徒たちの性癖をズタボロにしてみせたマドンナ的立ち位置にいる少女教師が、己の髪房を両手で優しく握ってはアヘ顔をキメながら自身の髪の毛を、母乳を飲む赤子がドン引きするレベルで吸っており――。
【いやああああああああああああああああああああ!!! ねぇ! ねぇってば! 何度言えば分かるんですか
銀髪美少女が女子トイレの個室の中で自身の髪の毛をしゃぶり尽くすという地獄を思わせるような状況の中、いきなり悲鳴と非難の大声が響き回る。
しかし、声の主はどこにもいない。
しかし、その声の主は確かにいる。
不思議な事に……その姿なき声はマキナと呼ばれている教職員その人の声だった。
「あ、マキナ。さっきまで男子に声をかけられてしどろもどろになって逃げるように私に意識を手放して以来だね。鬼の居ぬ間に洗濯ならぬマキナの意識が無い間に銀髪舐め舐めと行きたかったけど、うん残念」
【私の事をいやらしい目で見てくる人間と仲良く話せる訳ないじゃないですか⁉ 何なんですかあの目! あんな目で私の胸を見てくるだなんて変質者ですよ変質者!】
「かわいい生徒相手に何て酷い物言いだね。とても次世代の人型AIとは思えない。あの時期の少年少女は多感かつ性欲に忠実。寧ろそうじゃない方が不健全。下手に溜め込んで性犯罪に関わる電脳犯罪者になるよりずっと良い。AIならそれぐらいは頭に入れておいた方が良いよ?」
【確かに私はAIですけれど! その理屈は色々と酷いです! AIでも人間を選ぶ権利ぐらいは持たせてくださいよ⁉】
「大丈夫? そんなに怒るとハゲるよ? 銀髪舐めとく?」
【結構ですッ! と言いますか、私の身体で銀髪を舐めるの止めてくださいって言いましたよね⁉ うぅ……! どうして……! どうして私の身体が……! こんな気持ち悪いほどに銀髪狂いの変態に奪われて……!】
「奪うだなんて人聞きが悪い。この素晴らしい銀髪を有する身体と銀髪をペロペロする自由を提供したのはマキナの方だろう? おかげ様で素晴らしいバ美肉転生人生を……いや、AI生かな? うん、AI生。周囲の男子生徒の性癖を壊しながら銀髪美少女の素晴らしさを布教するという素敵なAI生を送れているよ。うん、最高! バ美肉教員生活、最高! 1ヵ月前まで私が男性だっただなんて思えない!」
【命の恩人を助ける為に頑張ったら、その命の恩人がこんなどうしようもない変態だなんて思ってなかったんですよ……⁉ お願いですから私の身体で変な事をしないでくださいよぉ……⁉ 泣きますよっ⁉ 泣いちゃいますよ⁉ ほーら泣いちゃいますよ⁉ うえっ……! ひぐっ……! う゛わ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛ん゛ん!!! ど゛う゛し゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!!!】
「
【髪を舐めながら話すな――ッッッ!!!】
◆
イメージイラスト(イラストAI)
マキナ先生
https://kakuyomu.jp/users/doromi/news/16818093089600573189
↑イラストAIによるイメージイラストでございますー!
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