失恋して真っ暗だった僕を救ってくれたのは、隣の家の女の子でした
藍色の星 みり
序章 / 再会、そして繋がり
1 失恋と現実逃避
『あなたとなんて、付き合わなかったほうが…』
…今日もまた、目が覚めた、
10月17日の朝
「みりー、早く起きなさーい、学校遅れるわよー」
部屋の外から親の声が聞こえる…そんなこと言わなくてもわかってるっての、時間全然余裕だし…それにしてもなんであんなずっと見続けるんだろうか、そんなこと言ってても何も変わらないことはわかってる、なのになんで…考えても仕方のないことか。
「起きてるから起きてるから、あと五分だけ」
「すぐに起きればいいのに、いつか起きなきゃいけないんだから、早く準備すませときなさいよ」
「はーい」
そうして寝室を出て食卓につき朝ご飯を食べる、俺の家はパン派が多いから、必然的に朝ご飯はパンになる。食事を済ませ朝ご飯を食べ、身支度をして、家を出る前にあの子に連絡…あ、もうする必要ないんだった。もう終わった関係だし。
「行ってきまーす」
「忘れ物ない?、ちゃんと確認した?、弁当水筒入れた?」
「小学生じゃないんだから、そんなに確認しなくて大丈夫だよ」
「だって言わないとあんたすぐ忘れていくじゃん」
「うっ…」
否定出来ないのが苦しいところ、実際忘れ癖あるし、
「まあ行ってきます」
「気をつけてねー」
そうして歩き出したが、学校に向かう足取りは重い。かれこれ一年以上は付き合っていた彼女だった。なにがいけなかったのかな、なにか自分に至らない場所が…あったからあんなこと言われたんだろう。全部自分が悪かった、それでいいんだ。
「にしても10月の中旬だってのに何だこの気温は、暑すぎないか?」
まるで辛いことがあった自分への当てつけかのように、秋の季節とは到底思えない強い日差しが降り注ぐ。そもそも最近は秋の概念が曖昧になるくらい、暑い季節が続いたと思ったらすぐ寒くなるから服とかをいつ変えれば良いものかよくわからない。
「…学校…行きたくないな、連絡入れてサボるか、うん」
もう別れたあの子が居る空間に、今は居たくない。あまり思い出したくないのに、視界に入ったら嫌でも思い出してしまう。そうすると俺はまた落ち込んでしまうだろう。ただでさえ今ここまで落ち込んでいるのに…。
「今日はどこまで行こうかな」
いつもは乗る必要のない電車に乗って、今日はちょっと遠くに行ってみる。そうして着いたのは、一番近くにある海と、広がる砂浜、いわゆる海水浴場だ。そこそこ大きいところで、海水浴シーズンは人が多く集まるところらしいが、今は10月中旬、泳ぐ人は居らず閑散としている。
静かに、波の音だけ聞いていたい。
そんなに俺と一緒にいるのが辛かったのかな、たしかに最近遊ぶ回数、話す回数がちょっと減ってるような気がしてたけど、もしかしてあの頃からもう好きじゃなかったのかな…考えれば考えるほど、病みが深まっていくような気がして、考えることを止めた。そうしてお母さんが学校で食べるために作ってくれたお弁当を食べながら。
「この先、どうやって過ごしていこうかな」
この一年間、あの子に喜んでもらうために頑張ってきたし、これからもずっと一緒に居たいという想いで過ごしてきた。それを目的に今まで生きてきたと言っても過言ではない。その目的が、急に無くなってしまったのだ。考えても考えても答えが出ることはなかった。
「あ…もうこんな時間か…」
ずっと考え事をしていて気づけば思ったより時間が経っていたようだ。…そろそろ帰るか。
学校をサボってしまった後ろめたさもあるが、かれこれ六時間も砂浜ずっと考え事をしていてスマホを一切見ていなかったことに気づき、帰りの電車の中で確認をしたら、友達の
柊:熱出て体調悪いんだって?、ゆっくり休んどけよー、また学校来たら話そうぜ
あ、そうだった、熱出して学校休んでることになってるんだったな。せっかくなので返信しておくことにした。
藍星:ありがと、ちょっと寝たら楽になったし、多分熱も引いてるから、あしたは行けるよ
柊:おう!、それは良かった!、また明日会おう!
相変わらずテンションが高いやつだ.。友達と話してると、少しだけ心の痛みが和らぐような…そう都合よく行けばよかったんだけどね。
「ただいま」
「あ、おかえりー、今日はなにかあった?」
「特に何も」
弁当箱を片付けて、親とも必要最低限の会話で済まし、自分の部屋に籠る。なにもしたくない、どうせ誰も分かってなんてくればい。やり場のない思いをどうすればいいのか。なにもする気がなくなって晩ご飯の時間まで寝ることにした。
「ほんと、なんにもやる気でないんだね、なんでこんなことになっちゃったんだろ」
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「失恋して真っ暗だった僕を救ってくれたのは、隣の家の女の子でした」
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