俺になんのそのな、猫は今日も気儘

宇治鏡花@

第1話 猫

猫は気儘だ。

飼い主には猫の下僕となり、猫様が構えよと鳴けば背中をブラッシングしなくてはならない。

達磨みたいに太らないよう、餌の管理にも気を遣い、不機嫌そうならチュールをあげればいい。

愛情表現は分かりにくい気分屋だ。

普通の猫なら。


低い声で餌、餌と鳴くこの声が聞こえなければ。

白毛並みに黒いまだら模様のスコティッシュフォールドは折れた耳をピクピクさせて見てくる。

銀色のボウルに湯煎しておいた鶏のササミを手でほぐし、独特の臭いがするキャットフードを投入。

大葉を細かく千切りにして、それらをスプーンで混ぜ混ぜした猫様スペシャルを中央が凹んだ皿に入れ、キャットタワーから降りてきた「ぶちぶち」は一目散に近付いてくる。


「よく噛んで食べなよ? 消化不良とかになるのは人間も猫も同じだし」

「あむあむ」

聞いてないし。

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