第11話 お断りします
大叔父様に無理を言ってもう一度鑑定をしてもらう。我儘娘を印象付けるには好都合だったかな?
そして2回目の鑑定が終わると、大叔父様の口からは私の望まぬ言葉を聞かされたの。
「やはり無と光で適性値は1だよ。この世界は火、水、風、土、白、黒の6属性しか存在しない。この私でも無と光については何も判らないな」
私の属性はダブルだけど、無と光2つの属性は本来なら存在しないものなので、魔術の効果や発動方法すら判らないということだったの。巻き戻り前よりもさらに無能な結果に、少し自分に『がっかり』した訳だけど、私は有能である必要がないので、思ったほど落ち込むことはなかった。
「私は才能がないことは自覚しているから大丈夫だよ。その為にファビオが居るんだもん。大叔父様ありがとうございました。ファビオ、用事は済んだのだから遊びに行くわよ」
「は、はい!」
私はファビオの手を引いて大叔父様の部屋を後にしたのだった。
§アルテイシア視点§
リディの鑑定は思わぬ結果だったわ。だって、以前のリディの属性は水の適性値1だったのだから……。
聖教国で育った環境のせいか、魔術の属性やその適性値に触れることが多かったので、それなりに詳しいと自負していた。
でも、叔父様の口から出た『無と光』という存在しない2つの属性を聞いて、只々驚くことしかできなかったわ。
誰も知らない属性を持っているリディは神の使いなのかしら? まぁ、それは冗談として私が禁術を使ったことで、不可思議な力が影響したのが事実かも知れない。
まぁ、リディはそんなことには興味がないようで、鑑定が終わるとファビオを連れて部屋を出て行ったの。すると叔父様が神妙な面持ちで話しかけてきた。
「シア、リディアーヌをヴァレンティ聖教国で預からせて欲しい。あの子の属性は間違いなく神からの
叔父様の言うことは正論だと思う。お父様なら無と光の謎を解明できるかも知れない。だけど、私はリディと離れるなんて耐えられないので、丁重に断りを入れることにした。
「お断りしますわ。リディと離れて暮らすなんて耐えられないわ」
「シアも一緒に来れば良いじゃないか。きっと教皇もお喜びになられるよ?」
叔父様が私も一緒に戻ればなどと言った瞬間、凄まじい殺気が発生する。
「シアと私の天使をどうすると言った?」
「!?」
「ミゲール、私達はどこへも行かないわよ。リディがあなたと離れるわけがないじゃない。叔父様も滅多なことを言わないでね? そうじゃないと命の保証はできないわよ」
「うむ、ミゲール殿申し訳ない」
世界最強の一角と言われるミゲールの圧に気圧された叔父様は、青褪めた顔をしながら謝罪をした。それでもミゲールの怒りは収まらないようなので、リディの名前を出して落ち着かせることにした。
「ミゲール、今日はリディのダブル属性が判ったお祝いに、プレゼントを買いに街へ出かけましょう」
「おぉ、それは良いね! すぐに買い物へ行こう」
怒っていたのが嘘のような笑顔になり、叔父様のことなど忘れて、私の手を引っ張って街へと駆け出したのだった。
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