第9話 大叔父の訪問
大叔父様がレイバック大聖堂にやって来たという一報が入った。予定していた行事を済ませた後に、我が家へやって来ると思っていたけど、滞在期間中は最も安全なレイバック辺境伯家の城に滞在したいと、大叔父様側から申し出があったの。教皇様に次ぐ聖教国No.2の申し出を断る事ができず、城での滞在を認めることになった。
大叔父様がやって来た日の夕刻になると、豪華な馬車が城の敷地に入って来たと連絡が入ったので、私達は出迎える為にエントランスへ向かった。
馬車がエントランス前に停車すると、御者が馬車のドアを開けた。
『カツカツ』
純白の聖衣に身を包んだ『The聖職者』といった感じの人が降りてくる。
(記憶にある大叔父様と同じだ)
大叔父様が馬車から降りると、姪であるお母様がカーテシーをして挨拶をする。
「叔父様、お久しぶりね。今回は辺境伯領内の視察よね? どの程度の滞在になりそうなのかしら?」
「シア!変わらず美しいね。長期と言いたいところなんだけど、残念ながら2日程しか滞在できないんだよ」
大叔父様のお母様を見る目はなにか違和感を感じるもので、聖職者とは程遠いいやらしい視線だった。お母様はそんな視線を意に返さずに、お父様と私のことを紹介する。
「そう、なかなか過密な日程なのね。主人のミゲールは婚姻の儀で会っているからご存知よね? この眩い程に可愛い天使は私の愛娘リディアーヌよ!」
お母様が大袈裟に紹介するので、プレッシャーを感じながらもカーテシーをして挨拶をする。
「大叔父様、私はリディアーヌと申します。お会いできて光栄ですわ」
「小さなレディ、私も会えて嬉しいよ」
挨拶を終えたので、私はお母様にしがみつくと我儘娘を演じ始める。大叔父様に気に入られると厄介そうなので、すぐにこの場から離れることを選択したの。
「ねぇママ、挨拶は済ませたから、遊びに行っても良いわよね?」
「叔父様が来たというのに……、でも子供が堅苦しい話の場に居るのは辛いわね。良いわ、行ってらっしゃい」
「ありがとう! さぁ、ファビオ一緒に行きましょう」
「は、はい姉さま!」
私は笑顔でその場を去った。夕食の時も『ササッ』と済ませると直ぐに部屋へ戻って、大叔父様と関わることを徹底的に回避したの。
そして翌日になり、私とファビオの才能を鑑定してもらう為に、両親と一緒に大叔父様の部屋を訪れたのだった。
§チェザーレ視点§
久しぶりに見たアルテイシアは変わらず美しかった。母となり清楚から妖艶になった感じて、下半身の滾りを抑えるのに必死になってしまった。
アルテイシアから娘を紹介される。瞳と髪色は母に似ているのだが、かなりキツめの化粧をしている様子から、おそらく残念な容姿をしているのだと思った。
(無能にして我儘で容姿も残念なのか……)
しかも情報通りの我儘っぷりで、私が来ているにも関わらず遊びに行くと言いだした。溺愛体質のアルテイシアはそれを認めると、義弟を連れて去って行った。明日は子供2人を鑑定するのだが、無能な我儘娘ならば聖女候補として迎えるのは、かなり厳しいだろうと思ったのだった。
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