ボクの女友達が引きこもったら、究極の愛に気づきました

@superYOSHIman

第一話

 女友達が引きこもったことを担任から知らされた。長期間休んでいたことは知っていたが、引きこもっているとは知らなかった。


「お前ら、あいつと仲良かったろ?なんで引きこもったか調べてくれよ」

「……先生、僕らに探偵の真似事をさせる気ですか?嫌ですよ。サンタも嫌だよね?」

「……あぁ、えっと」


 らしくもなく、彼は何を考えているようだ。彼の名はサンタ。あだ名ではなく、彼の本名だ。


「お前らなぁ。生徒なら、先生を助けようとか思わないの?それに、あんなに明るかったあいつが引きこもるなんて想像もつかなかったんだよ。困ってるの」


 僕らだってわからない。初めて会ったのが小学生4年生の頃で、今が高校2年生だから、もう大体8年の付き合いになる。けれども、以心伝心かと言うとそう言うわけでもない。分からない物は分からないのだ。

 

 今回のことも同様だ。彼女が引きこもった理由なんてわかるわけがない。


 彼女に対する、僕の気持ちも決めかねているのだから。


 担任の顔を見る。口調こそ砕けているが、目のしたに隈ができてる。深く深く悩んでいることがわかる。あまり眠れていないのだろう。


「俺は、やってもいいよ」

「サンタ?お前まじで言ってる?」


 本当にらしくない。いつも控えめで、自分からものを言うことのないやつだ。その彼が、やりたいと言っている。


「……珍しいな」

「まぁね。気になることがあるんだ。ケンジはどうする?」

「お前がやるんだ。僕もやるよ」


 彼がやりたいと思ったことは、できるだけ手伝ってやりたい。


「おお、お前ら、俺のために!!ありがとう。いやぁ、俺はいい生徒を持ったよ!」

「先生のためじゃない。あいつとサンタのためにやるの、勘違いするんじゃねえよ」

「俺、最近ラノベハマってるから知ってる。そういうのツンデレって言うんだろ。俺にそういう趣味はないが、案外いいもんだな」

「キモ。教師が生徒に欲情するなよ」


 彼の顔色が多少良くなった気がする。そうだといいのだが。


「してねぇ。ま、とにかく頼むよ。何かあったら言ってくれ」

「わかりましたよ。サンタもわかったな」

「聞いてたよ。行こう」


 オドオドしていたはずのこれまでの彼が、どこかに消えてしまったようだ。何かあったのだろうかと心配になる。



 早速調査を開始した。最初は聞き込み、と言うのが推理小説の常識だ。それに則って、手分けしてクラスメイトに彼女について尋ねることから始めた。


 大半の生徒は、僕に協力的だった。嬉しい限りだ。得られた情報を大まかにまとめる。


 彼女はいつもフレンドリーだった。人気者だった。なんで学校にこないのかわからない。やはりこれだけでは何も分からない、そう思っていた時に、佐野さんに辿り着いた。


 今まであまり話したことのない、ギャルっぽい女の子だった。僕が尋ねると、他の生徒たちと同じかなり協力的な態度で応じてくれた。


「あぁ、あいつ?えっとねぇ」


 彼女は僕の方をチラリと見る。


「まあ、ケンジくんならいっか。あいつね、結構前から、私らを脅して回ったり、手紙を盗ったりしてるの。でも、なんでそんなこと聞くのさ」

「まあ、友達のため、かな」


 彼女は少し首を傾げた。多分戸惑っているのだろう。

 

「……ふーん、まあいいや。」

「ありがとう」


 深入りしようとしないところにも好感が持てる。こういう人をコミュ強、というのだろう。


「で、ねぇ。私見ちゃったんだ。盗った手紙、ロッカーに入れてたんだぁ」

「そうなんだ。ちなみに、どんな手紙?」

「ひ・み・つ」


 なんだその言い方。めちゃくちゃ気になるじゃないか。


「……まあいいや。とにかくありがとう佐野さん。助かったよ」

「佐野さんじゃなくて、アカリ。アカリって呼んでよ。その方が友達っぽいし」

「わかった、ありがとうアカリ」


 図書館で一緒に勉強しないかと誘われたが、丁重にお断りしておいた。まるで断られるのがわかっていたかのようだった。



 放課後、担任とサンタをロッカー前に呼んだ。







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