何とも言えない妙味のある怪異短編集。
怪異、としてしまうと少し違う不思議な
話もあるのだけれど…。
多摩丘陵でムジナと思しき 何か に
化かされる(?)話から、作者の友人から
聞いた、遠いアフリカでの貴重な逸話まで
バラエティに富んだ、何処か不思議な
日常の出来事だ。
そこに作為はない。
只、妖しい。
恐ろしい化け物も幽霊も出ては来ない。
……多分。だが、それだけに 怖い。
作者のユーモア、ウイットのセンスと
文字運びの洗練。それは作者の他の作品に
共通して言える事だが。
読みやすい掌編集だが、後に残る
何とも言えない 感慨。
不定期連載なので、楽しみも続く。