今回は、ガチの仕事のお話を!

崔 梨遙(再)

1話完結:2100字

 求人をする時、最初から決まっている、どうしようもないことが幾つかあります。その中の1つが、元々採用力のある会社なのか? 元々採用力の無い会社なのか? ということです。採用力が無いと言ってしまうと元も子もないと思われるかもしれませんが。


 まずは会社の規模。普通に考えて、大企業の方が中小企業よりも最初から採用力はあります。安定していると思われるし、労働条件も恵まれているケースが多いからです。ちなみに、何百人にも取材をしてきて確信しましたが、“いい会社だから辞めない”という人もいれば、“特に辞める理由が無いので辞めない”という人も少なくないんです。大企業の場合、後者が多いです。特に工場など。


 そして、最初から人気のある業種なのか? 人気の無い業種なのか? これも重要なんです。更に、人気のある職種なのか? 人気の無い職種なのか? これも業種と同じくらい重要です。


 人気の企業! 人気の業種! 人気の職種! これだと求人を出せば応募者は集まってくるでしょう。楽な採用です。多くの応募者が来れば、その中から良い人材を選ぶだけ。採用経費(求人広告の料金など)も安く人材を獲得出来るんです。


 ちなみに、業界ナンバーワンとか、そういう社会的証明も採用の武器になることが多いですね。そういう武器があれば、どんどん使うべきです。


 ですが、僕達のお客様の多くは不人気業種、不人気職種、中小企業でした。でも、不人気求人には、不人気求人の応募者の獲得の仕方があるんです。不人気求人でも戦えます。戦い方はいくらでもあるんですよ。


 ナンバーワンじゃなければ、オンリーワンになればいいだけのことです。


 絶対に、“他の会社には無い!”とか“この会社にしか無い!”というものがあるはずです。それが何か? まずは自社の分析をして自社の強みを自覚することから始まります。その企業にしかない強みは必ずあります。気付いているか? 気付いていないか? それだけの話なんです。


 というのも、長所は短所になることもあり、短所は長所になることもあるからです。会社の長所は、視点を変えれば必ず見つかります。


 従業員にアンケートをとるのもいいかもしれません。そうすれば、“従業員満足度100%”など、思わぬデータが取れることもあります。同時に、不満なこともアンケートなどで把握するといいでしょう。 “何が会社の問題なのか?”など課題がわかるからです。会社の悪いところを知ることも重要です。何故か? 求人広告に悪い点も書けるからです。その分、少し応募者が減るかもしれませんが、メリットだけを羅列しても入社してから辞める者が出て来るだけです。最初にしんどいことも伝えておいた方が、イメージギャップは少ないのです。会社を早期に辞める人の傾向として、入社前後のイメージギャップで辞める人が多いのです。辞める人を10人採用するより、辞めない人を3人採用する方がいいでしょう?


 会社の良さは、誰よりも従業員が知っています。そこで働いているということは、その会社の良さがあるから働いているに違いありません。従業員の本音をどこまで聞けるか? こういったことが重要ですね。


 ここにしかない“やりがい”、他社には無い“やりがい”、それが求人(採用)の成功を握る鍵となります。そこを把握できれば、大企業や人気企業と互角に渡り合える求人広告を作成することが出来るのです。ここにしかない、それがオンリーワン企業であるということです。


 とはいえ、待遇面も大切です。特に給料と休日休暇は重視されます。そこで明らかに他社と比べて負けていると、いくらオンリーワン企業でも勝てません。待遇面は、或る程度は良くしてもらう必要があります。完全週休2日制で、GW、夏期、冬期休暇などが無い場合は年間休日数が105日でしょう。今は、これでも勝つのは厳しいです。欲を言って良ければ、GW、夏期、冬期休暇を与えて年間休日数は110~125日にしてほしいですね。そうすれば、勝ちやすい。人気企業と互角に戦えます。そして給料はせめて平均的な額を用意していただきたい。しかし、あまり高給に設定するのもいかがなものか? と思ったりします。お金目当てで入って来た人は、お金でまた転職してしまいます。要はバランスです。


 僕が携わる時は、家庭を持っている従業員を取材したりしました。10年後、20年後のビジョンを見せるためです。入社したらどうなるのか? 入社して10年後は? 20年後は? イメージは重要です。


 こうして、ここにしか無いものがあるオンリーワン企業! と、言えるだけの材料を揃えることが出来れば、求人(採用)で成功する確率は高いでしょう。中小企業でも、不人気業種でも、不人気職種でも。ただし、入社後の教育は必要です。そして、入社してくる人材の受け入れ体勢を整えておくこともお忘れなく。受け入れ体勢が出来ていなくて新人を潰してしまう企業もありますので。



 “求人(採用)”という大きく幅広いもの、その中の1部分を今回も書きました。また、求人(採用)に関して書くことはあると思います。その時もよろしくお願いいたします。







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