【初投稿 短編 お試し】現実と空想の狭間で・・・

のりのりのん

第1話 田中 太郎 ①

俺はニート歴20年の自他ともに認めるベテラン自宅警備員である


高校卒業後、進学するでもなく就職するでもなく・・・

気づけば20年、アラフォーである

そして""働いたら負け!""と勝手に決めつけて政治批判や変なニュースをSNSでRTするだけの無為な日々を送っている社会のモブ オブ ザ モブである


え? 親? 健在よ? それが何か??

不幸な孤児出身設定でもなし、虐待受けてた設定でもなし、裕福でも貧乏でもない中流家庭のザ平平凡凡


座右の銘は ""その時が来たら本気出す!""


中学と高校でのあだ名は ""ぼっち太郎""


何故って?

読んで字のごとくぼっちな太郎が由来

そう、俺の名前は【田中 太郎】

なんかどこにでもいそうで以外にいない名前である

チョ〇プラが流行った時に "" T T ""なんてあだ名の時もあったが基本ぼっち太郎と呼ばれていた


大好物はラノベとアニメ

俺もいつか異世界転生を!!

せっせとサバイバル知識やモノづくりの構造なんかを勉強していたりする

しかし、待てど暮らせどそんなテンプレ気配は全く訪れない


あれか?

どこぞのブラック企業で社畜戦士の末に過労死ルートか?

それとも道路で猫を助けて異世界トラックからのお亡くなり転生ルートか?

はたまたゲームで廃人からのゲーム世界ルートか?


異世界転移まで含めると無限に近いルートがあるだけに、とにかく俺は知識だけはそれなりに蓄えていつでも""お呼ばれ可能""な状態を維持してる


そんなある日の夜

小腹が減ったので、パッシブスキルと化した異世界転生ルートテンプレを探しつつコンビニへ向かっていると・・・


フラフラ走るトラックを発見


すわっ!

異世界トラックか!!


と、注視していたら、そのまま電柱にドーーーン


チっ、ねぇーのかよ

と、舌打ち

運転手と目が合うも特に通報や救命などせずその場を歩き去る


コンビニが見えてきて、よくわからない言語を話す不良外国人が駐車スペースでたむろしていた

くそ害国人どもが!俺が魔法を使えたら間違いなく燃やしてやんよ!と、チッとここでも舌打ち

もちろん声になどださない

心の中である


たむろしている外国人を大きく避けてコンビニの中に入り、いつものミルクティー500mlとチョコチップクッキーとポテチを手にレジへ向かう

電子決済が定着しつつある現代で小銭をちんたら出してる同世代ぐらいのおっさんにイライラしながら順番を待つ

もちろん心の中では盛大に舌打ちをしつつ呪詛っている


自分の順番になり、電子決済のPaypayを提示


店員はバイト初日なのか不慣れでレジの使い方がわからないのか電子決済の方法がわからず「少々お待ちくださいませ」とその場を離れていった

チっ、くそがとまたも心の中で呪詛っていると先輩店員と一緒に戻り「お待たせいたしました」と清算を始める

去り際に「しっかり教育しろよ!」とカスハラマウントをしっかりとってコンビニを出る。少しスッとした。


コンビニを出てもまだたむろしてる外国人を一瞥して帰路につこうと歩き出すと

片言で「にぃさん、それおいしそうね。ちょうだいね」と話しかれられた


はぁ?と思いつつも言い返すのも嫌だったので聞こえなかったふりして歩き出すと、後ろからついてくる気配がある

振り返る勇気もなく心臓がバクバクいっているのがわかる

「おーい、無視するなー」といわれるがやや小走りで帰路を急ぐ


さっきの事故現場あたりまでいけば警察いるだろうと打算しながらも、ついに後ろから肩を叩かれる

「hey、オカネとケイタイ だせ」


ぐっ

恐怖で硬直する

さっきたむろしていた外国人5人が退路も含め囲まれてしまう


何もしゃべれず黙っていると「早くだして!!」と腹パンされる

ぐふっと痛みと恐怖に震えると、同時に怒りもわいてくる

が、特に何かできるわけでもなくその場にしゃがんだら、髪の毛を乱雑に引っ張られて顔をあげられる

「早く出して!!」と、頭を小突かれ、次に左肩に蹴りが来る

何のリアクションもしない俺に対して、イライラしてきたのか、やがて次から次へと手数が増えてきて、すぐにリンチのように俺を殴る蹴るが始まった


理不尽な痛みと恐怖に耐えながら亀のポーズのようにその場でふせることしかできなかった


数秒か数分かわからないがやがて遠くから「そこ~!何やってる!!」と誰かが大声を出しながら駆け寄ってくる

外国人たちはチッと舌打ちして「逃げるぞ」と離れていった

助かった!と思っていたら「shitto!!」と言いながら、置き土産とばかりにかかと落としで頭をガンっと打たれた

あまりの痛みで俺はそのまま意識を手放した・・・

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