第13話

矢野と寧々は横浜までドライブに来ていた。この2人は親子なので一緒にいても何も言われる事はない。今日は今話題のミュージカルを観に来ていた。

「凄く楽しみにしてたの。だって先月はオフバラバラだったから…… 」

「ゴメンな」

「何でいっちゃんが謝るの?そういう月もあるよ」

寧々は明るく言うと、パンフレットを開いた。

場内アナウンスがあり、会場が暗くなった。ミュージカルの幕が開いた。


海の見える喫茶店で、矢野と寧々がミュージカルの話をしている所へ、女性2人がやって来

た。

「あの、矢野一色さんですよね。大ファンなんです!あの握手して頂けませんか?」

女性2人はかなり興奮している。

矢野は柔らかな笑顔を見せると握手に応じた。

握手してもらった2人は感激しながら自分達の席に戻った。

「いっちゃん、今はプライベートな時間なんだからそんな事しなくてもいいのに」

寧々は矢野が他の女性と握手したのが気に入らない。

それに関して矢野は何も言わなかった。

「それで寧々、さっきの話の続き」

矢野と寧々は再び話を再開したのである。

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