おまけ編 監禁1日目





 地獄みたいな現実は寝ても覚める事はなく、イカれ女は今日も私の独房へやにやってきて居る。


「は、っ……いっ、う……」


「あら?どうしたの?」


 捕まって1日経ったばかりとは言え、正直かなり限界だ。


 私なりに工夫して逃げようとしてるんだけど、手枷を外せても少し動くだけで元の場所に戻されるし、何回も外しては戻されを繰り返したせいで腕と手首が凄く痛い。


 ずっと吊り上げられているから、手先の感覚が無くなり始めてきた。


「こ、れ、外してよ……」


「ん?あぁ、分かったわ」


 やけに素直だな、と思った瞬間、イカれ女は、ガチャという音と共に私の首に何かつけて来た。

 

「ちょっ、と、この首輪なんなの?手枷外して、って」


「はいはい、ちょっと待っててね」


 とか言いながら、私の頭を撫でて部屋を出て行ったイカれゲロ女。


 とうとう話すら通じなくなったらしい。


 ……こうなりゃ、手首クッソ痛いけど外して行くしかない。


「ん、ぎっ、く、そがあぁ」


 と、ヤケクソで数分引っ張っていると、物凄い音を立てながら、私の丁度頭の上にある手枷の鎖が繋がっていた棒と一緒に手枷が外れてくれた。


 けど、喜んだのも束の間、その瞬間胸を直で殴られているような衝撃が走った。


「か、かひゅっ、……っ、ぇ、あ……?」


 息が、まともに出来ない。

 どうやら、息みすぎて、ただでさえ弱っていた体に負荷がかかり過ぎたたらしい。


 俯いて必死に息を整えようとしているところに、イカれ女が、おそらく手枷の鍵と思われる物を持って戻って来た。


「あらあら。まさか手枷を壊しちゃうなんて、少しおいたが過ぎるんじゃないの?だからそんな目にあうんですよ?」


「う、っさい……、早く、外せって、」


 しゃがんで説教垂れてるイカれ女に抵抗がてら蹴りを入れながら、残ってる体力を振り絞って睨みつける。


「………私はその性格好きだけど、ちょっとお仕置きが必要みたいね?」


 は?という暇も与えられず、頬に両手を当てて来たと思った瞬間、間髪入れずに私の唇にイカれ女は唇を押し当ててきた。


 ただでさえ呼吸がおぼつかなかったのに、隙間無く唇を塞がれ、絶息が私を追い詰めていく。


 苦しい、苦しい。


「ん、ぷはっ、はぁ、はっ、はっ……」


 数十秒にも満たないけど、永遠とも言えたキスが終わり、急いで肺いっぱいに空気を送り込む。


「変に逃げ出そうとすると痛い目にあうの、分かってくれた?」


 流石に、これで折れ……る訳ないでしょ。

 

「はっ、分っかんねぇよ」


 私が、絶息程度の苦しみで折れるとでも?確かに辛かったけど、こいつに捕まった時点で死だって最初から覚悟してるわ。


 けど、こいつにキスされるのは癪だから今度噛みちぎってやろっかな。


 そう思いながら、ニヤニヤと気味の悪い笑顔を向けているイカれ女を睨んでやった。


 

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