【悲報】豆腐メンタルで底辺配信者な私が、クラスの人気配信者とグループを組んでバズったんだが〜肝試しには御用心の巻〜【短編】
水定ゆう
第1話 噂の墓地
「あーマイクテスト、うんうん。皆んな聞こえる〜! こんにちは、マスカレードXのウルハだよ! 聞こえてたらコメントしてねー。おっ、投げ銭ありがとうー、“ウルハさん今日も可愛い”。嬉しいな、ミックミルクさんに聞こえてるってことは、みんなに聞こえてるんだね。それじゃあ行ってみよう!」
今日も今日とてウルハちゃんのテンションは高い。
私アスムとカランちゃんはそんなテンションに乗り遅れる。
それでも仮面越しにウインクをされると、今度は私の番だ。
「えっと、こんばんは。アスムです」
「……あっ、カラン」
「もう一回、ウルハだよ! それじゃあ今日もやって来ました。ダンジョン探索の時間です! 今回の舞台は、ここだ!」
カメラドローンの画角に怪しい場所が映る。
今回やって来たダンジョン。その舞台は墓地。
明らかにこんな時間、真夜中の○時前にやって来ては行けなかった。
そう私達マスカレードXはダンジョン探索者であり配信者。
色んなダンジョンに行き、色んな敵と戦い探索を続ける。
そんな私達の今回の稼ぎ場所は最近何かと話題の墓地。私もウルハちゃんに聞いたけれど、如何やらこの墓地出るらしい。
:ここヤバいとこじゃん
:ウルハさん、ここってヤバいよ
:例の墓地か
:ヤバい。マジでパネェ
:あはは、それ4語
:でもここって出るとこじゃん
コメントも盛り上がっていた。
確かにウルハちゃんも言っていたけど、この墓地は出る。何が出るってもちろん幽霊だ。
「そうだよ。ここは超有名な心霊スポット。その名も人消え墓地だ!」
名前はまあ許してあげてほしい。
私は震える足を皆んなに見られないように必死で隠す。
正直今すぐ帰りたい。仮面越しでもここは嫌だ。
それでもウルハちゃんが行くなら行くしかない。
「あっ、でもやっぱり怖い」
「怖いの、アスム?」
カランちゃんに心配されてしまう。
まさかのカランちゃんの強メンタル。まるでビビらない。
と言うか大きな欠伸を掻いている。頼もしすぎて泣きそう。
「大丈夫、きっと、きっとなんとかなる。みんなが付いてる、だからきっと、ねっ。なんとかなるよね」
「うるさい、アスム」
「ごめんなさい」
私は震える自分を励ましました。
カランちゃんに完全に見破られ、カメラに映らないようにする。
必死に我慢すると、ウルハちゃんがニコッと笑みを浮かべました。
「ってことでアスム、カラン、これを持ってて」
「なにこれ?」
「瓶?」
「瓶じゃなくて、中身のこと言って欲しいな。(コホン)これは私の知り合いから譲って貰った聖水だよ! これでどんなお化けでもイチコロ。みんな、私達が謎を解決するから最後まで見逃しちゃダメだよー」
ウルハちゃんはそう言うと、青い液体の入った瓶を私達に手渡す。
中に入っているのが聖水のようで、まるで液体洗剤だ。
更にウルハちゃんは視聴者が離れないように繋ぎ止める。
そんなことしなくても、ウルハちゃんのビジュアルなら、それだけでみんなが注目する。
変なことしなくても同時視聴稼げるのにと思いつつ、背後の墓地を見つめた。
ゾクリ!
「うっ、嫌な感じがする」
「そうなの?」
「うん。私の能力がそう言ってる」
この墓地には何かある。だけど何があるの?
とにかく不気味だけど、墓地に行くのは確定。
無事に帰れればいいけど。そう思う私達マスカレードXは真夜中の配信を始めた。そう、今回の舞台は心霊ダンジョンだ。
「それじゃあ早速行ってみよう!」
「「おー」」
私もカランちゃんもテンションが低い。
そんなの当たり前で、正直行きたくはない。
しかしコメントは勘付くのが早い。
:ウルハさん明る過ぎですよ!
:そんなんじゃなにも出ませんって
:アスムさんとカランさんテンション低いw
:行きたくない人じゃん
:でもこの墓地ヤバいんでしょ?
:ちなみになにがヤバいの?
コメントがたくさん届いていた。
ウルハちゃんは一人で処理すると、この墓地のことを詳しく話してくれる。
私とカランちゃんもある程度は聞いていたけど、改めて聞かせてもらう。
「そうだよね。みんな気になるよね。実はこの墓地、トヨウラ墓地はダンジョンの影響で現れた墓地で、いわゆるダンジョンなの。おまけにこの辺りの観光名所の一つなんだ」
「そうなの?」
「うん。昼間は近くに湖もあるから、観光客がついでに立ち寄るんだけど、夜になると一変。何処からともなく幽霊? が現れて、ここに来た人達をあの世に連れて行っちゃうらしいんだ。他にも色々と霊障? が起きるみたいで、怖いよね、変な話だよね?」
そう語るウルハちゃんが一番怖がらない。
やけにテンションが高くて、私達は置いてけぼり。
だけど本当に怖いのはこの先だ。
この墓地は人が消える。でも理由は明確にならない。
「しかも深夜○時になると、薄灰色をした幽霊達が腕を伸ばして仲間に引き込むそうなの。それで捕まった人達はその場から姿を消して……今だと行方不明になってる人も多くいるんだって」
ううっ、怖い。怖すぎて足が竦む。
だってただの噂じゃない。
本当に起きていて、連日この墓地に来て行方不明の人が出ていて、今だと調査以外で立居はないように規制線が張られている。
そんな怪しくて近付きたくない墓地に足を踏み入れてしまった私達は、怖がりながらも先は目指した。
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