白川




 黒田くんと一緒に帰ることになった。

 これってすごいことだよ!

 だってさ、なんだか僕たち、友だちみたいじゃない?

「ちょっと座ろ」

 公園のベンチに座った黒田くん。

 僕も隣に座った。

 なんだか緊張しちゃうね。

「俺さ、もっと白川のことが知りたい」

「へ? 僕のこと?」

 前から思ってたけどさ、黒田くんってちょっと変わってるよね。

 僕のことが知りたいだなんて。

「僕のこと知ってもぜんぜんおもしろくないよ? あ、そう言えば、僕も聞きたいことがあったんだ」

 ずっと気になってたこと、聞いてもいいよね?

「なに?」

「黒田くん、もうサッカーやらないの?」

「え?」

「だって僕、中学校の頃ずっと見てたんだ。黒田くんがサッカーやってるとこ。いつもすっごく上手でカッコいいなぁって思ってて」

 これは本当に本当だからいいよね?

 僕は運動も苦手だからさ、いつもグラウンドを眺めてうらやましいなぁって思ってた。

 黒田くんに憧れてたんだよ。

「カッコ、いい?」

「うん! すごくカッコよかったよ!」

「俺が?」

「うん」

 あれ?

 黒田くんまた黙っちゃった。

 やっぱり聞いちゃダメだったのかな。 

 どうしよう。

 せっかく一緒に帰ろうって誘ってくれたのに。





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