白川




「おはよう、白川、黒田」

「あ、おはよう、赤星くん」

「おはよ」

 赤星くんだ。

 今日も早いんだね。

「なんだよ赤星、なんで早いんだよ」

 黒田くんと赤星くん、二人そろうとまたカッコいいなぁ。

「なんだよ、悪いかよ。あー腹へった」

 あ、赤星くんが僕のおにぎりを見ている。

 どうしよう。

 僕は黒田くんを見た。

「あの、えっと、おにぎりあげたいんだけど、黒田くんに俺以外のやつにやるなって言われたからあげられないんだ。ごめんね赤星くん」

 僕はそう言って赤星くんに頭を下げた。

「え、バカ、ちょっと、白川!」

 黒田くんが勢いよく立ち上がった。

 だって黒田くん言ってたよね?

 俺以外のやつに作るなって。

「なんだそれ」

 赤星くんが不思議そうな顔をしたと思うと突然手を叩いた。

「ああ! ああ~ああ~。そういうことか黒田」

 赤星くんがなんだか楽しそうに僕と黒田くんを見ている。

「はぁん、なるほどなるほど。黒田の好きな人って。あー、確かに、うんうん。さらさらの黒髪でちっこくてかわいいよなぁ。うんうんうんうん」

 赤星くんは何か納得しているみたいだけど。

「お前、ふざけんな、黙れ」

 あれ?

 黒田くんなにか怒ってる?

 顔が赤いけど。

「大丈夫だって。まったく気づいてないみたいだし? あぁ、こりゃあ大変だな、お前も」

 そう言うと赤星くんは「購買行ってこようっと」と言って教室を出ていってしまった。

 黒田くんは大きなため息をついていた。

 まだ顔が真っ赤だよ?

 どうしちゃったんだろうね。

 あれ?

 なんかさっき好きな人がどうとか言ってたっけ。

 黒田くん、好きな人がいるんだ。

 そっかぁ。

 うまくいくといいね。





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