白川
ああ、どうしよう。
やっぱり僕が作ったおにぎりなんて黒田くんも赤星くんも嫌だよね。
どうしよう。
黒田くんも様子がおかしいし、赤星くんはいなくなっちゃうし、もう嫌われちゃったかな僕。
「ねえ、これマジで白川が作ってんの?」
誰もいなくなると黒田くんがやっと僕を見てくれた。
「うん。ごめんね、黙ってて。あの、嫌だったよね」
怒ってるかな、黒田くん。
「嫌なわけねえだろ! すげえな白川。めっちゃうまいじゃん。いつもありがとうな」
急に黒田くんの顔が明るくなった。
「え? 黒田くん、嫌じゃないの?」
「なんでだよ。嬉しいに決まってんだろ」
嬉しい?
本当に?
でもまあ、とりあえず、よかったぁ。
「もしかして白川さ、俺が鮭好きって言ったから鮭入れてくれてんの?」
鮭?
ああ~、そういえば黒田くん鮭好きって言ってたっけ。
「あ、うん。鮭、好きなんだよね?」
どうしよう。
家に鮭ビンがたくさんあったからたまたま鮭が続いてたんだけど。
「好き! ありがとうな白川」
「う、うん」
黒田くんすごく喜んでくれてるみたいだし、まあ、いっか。
「なあ白川、お願いがあるんだけど」
「え? なに?」
黒田くんが僕にお願い?
「それ、俺以外の奴に作んないで。って言ったらやっぱおかしいよな、はははっ」
黒田くん以外に?
「えっと、僕のおにぎりを食べたがるの黒田くんしかいないし、他にあげる友だちもいないし」
おにぎりはいつも余分に作ってあるけれど、黒田くんくらいしか食べてくれる人がいないのは事実だ。
「そっか、よかった」
黒田くんがまた嬉しそうに笑っている。
なんだかよくわからないけど、とにかくもう一つあるおにぎりを食べよう。
もう僕お腹がぺこぺこだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます