第八話 ゴブリンへ続く道

 「ところでこの後暇か? 暇なら飯でも食いに行こうぜ!」


 「いいけど、俺ゴールド持ってないよ?」


 「そんなん奢るよ! お近づきの印さ! それにしても、ゴールド本当に持ってないならここまでどうやってきたんだ? ここから隣町まだ結構距離あるし、そもそもそこから来たってわけでもなさそうだしな」


 「まあ、色々あってね……。」


 そっかと、何かを察したカイはそれ以上アレンに追求することはしなかった。

 ギルドを出て2人はカイがおすすめだという店にそのまま向かい昼飯を取った。


 「そう言えばアレンはこの後暇か?」


 「あーたぶん?」


 「たぶんってなんだよ」


 何かこの後やることはあるのかと心の中でヴァルドに語りかけるが反応はない。人といる時には会話はは出来ないのだろうか。


 「いや、ごめん。大丈夫だけど何かあるのか?」


 「この後、一つクエストを受けようかと思ってるんだけど、よかったら一緒に行かないか?」


 「いいけど、、それってどんな?」


 「簡単さ! 『ゴブリン』を10体討伐する。ゴールドがない時にはこいつをやるのが1番! かなり効率的にゴールドを稼げるのさ」


 ゴブリン。父の自分語りの話の中で聞いたことがある。荒くれ者の魔物で、気性が荒く力が強い。そして群れを作ることでも有名な魔物だ。


 「でも、俺なんかがいて大丈夫なのか? その、スキルも毒耐性だし」


 心配そうに告げるとカイは大丈夫さと笑う。

 

 「冒険者の実力はスキルだけで決まるもんじゃない。それに、もし何かあったら俺がなんとかするからさ。ゴブリンくらいだったら1対10でも勝てるしね」


 「わかった。俺もついて行かせてもらうよ。で、行くのは明日の朝からとかか?」


 「いや、もう今から向かおう!まだお昼になったばかりくらいの時間帯だし、ゴブリンがある場所はここからそんなに遠くないから、今から向かっても日が落ちる前には帰れると思うよ。よし!そうと決まったら早速向かおう!」


 あまりの行動力の速さにアレンはついていけていなかったが、席から颯爽と立ち上がるカイに連れられて2人は店を出た。


 街を出て2人はゴブリンが生息している森へと向かう。ゴブリンたちは森の中の至る所で群れを作っているらしく、特にいる可能性の高い洞窟へと向かうらしい。


 「それにしても森の中だってのに道もかなり整備されてるんだな。」


 「ゴブリン狩りは冒険者たちからも人気のクエストだからな。冒険者がよく通る道はルート化されてそのまま有志たちによって整備されたんだ。ゴブリンスレイヤーの俺たち御用達の道ってわけさ。」

 

 そのままゴブリンロードを道なりに進んでいく。至る所から聞こえる虫のさざめきも心地よい。


 「それにしてもおかしいな。普段なら道中でもっと小型の魔物とかとエンカするんだけど、全然いねえな。他の冒険者が全部狩っちゃったのかな?」


 「そしたら、ゴブリンも残ってないかもな」


 「そうなったら帰るしかねえな!」


 そうこう話していると目的地である洞窟についた。カイも普段からここで狩りをしていて馴染みの深い場所でもあるらしい。

 木の影に隠れて洞窟の中の様子を伺っていると、中から緑の体色で背丈が自分の半分ほどの魔物が3匹ほど群れて姿を現した。

 

 

 「いたぞ、いたぞ。アレがゴブリンだ。」

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