第六話 金髪の青年カイ
「僕は『カイ』どこにでもいるただの冒険者さ」
その言葉に怖気づくようにバーサクは尻尾を巻いて逃げていった。そしてカイがこちらを向きアレンと目が合う。
「た、助けてくれてあり...」
感謝を述べようとすると、カイは「もう無理...」と小さくつぶやきながらいきなり前に倒れてこんでしまった。「えぇー!」っと、アレンが驚いていると、周りから冒険者たちが集まってくる。
「兄ちゃんどいてくれ、あいつの攻撃をもろに食らえばそりゃそうなるさバカやろう。今から救護室に連れてくからちょっと待っててくれ」
あまりの展開の速さに呆気にとられているとそのまま冒険者たちに担がれてギルドの奥に運び込まれていった。
『アレン、今のあいつがなんであんなにダメージを受けてるのにあの大男に勝てたかわかるか?』
唐突にヴァルドがアレンに質問をする。
「え、わかんないけど、めっちゃ強く押し返したとか?」
『いや違う。あれも一種のスキルによる効果なんだが、こんな村にもこのレベルのスキルを持ってるやつがいるということか…昔に比べて授けられるスキルの平均的なレベルが上がったのか、それとも偶然か…』
「何を言ってるのかわかんねえよ説明してくれよ」
『そんなことより一つお前に話しておくことがあるのを忘れていた。お前、俺に渡されたHOPEのことそのスキルの内容を他人に絶対に話すんじゃないぞ』
いきなり口調の雰囲気が変わるヴァルドに戸惑うヴァルド。
「そんなことよりって、それに今話したこともどういう意味かわかんねえよ。全部ちゃんと説明してくれ。俺ついていけてねえよ…」
「お、待っててくれたのか?」
そんな声に振り帰ると、先ほどアレンを守ってくれた青年カイがこちらに向かってきていた。
「説明がなんだの言ってたけど何かあったのか?」
「い、いや独り言だ。それにしてもさっき完全にぶっ倒れてたけど大丈夫だったのか?」
「ああ、大丈夫。ちょっとカッコつけようと思って全部受け止めようとしたら思ったよりダメージが大きくてぶっ倒れちまったけど、もう回復したから大丈夫だ!」
筋肉のポーズをしてアピールするカイにアレンは少し苦笑いを浮かべる。
「ところでさっきはなんで赤の他人の俺のことを助けてくれたんだだ?そもそもの原因は自分からぶつかった俺だし…」
「ん。あー、困ってたそうだったからってのもあるけど、君新入りだよね?」
「そうだけど、なんでわかったんだ?」
「ここら辺で一回も顔見たことなかったってのもあるけど、なんか昔の僕に似てたから」
そう言うとカイは少し笑う。
「似てる?」
「うん。2年前くらいかな。僕も初めてギルドに入ったときに同じように他の冒険者に理不尽に喧嘩売られてね。複数人にボッコボコにされてた時にある人に助けてもらったんだ。その人が今の僕の師匠なんだけどね。そんなことがあったから、同じような状況の君を助けてあげたくて」
「そうだったんだ。ありがとう」
「ところで、新入りってことは冒険者登録をしに来たんだろ?案内するよ。そう言えば君の名前まだ聞いてなかったな。改めて、僕の名前はカイ。君の名前は?」
「ありがとう。俺はアレン。よろしく」
「よろしく!」
そうしてカイに案内されギルドの奥に進んでいき、受付と書かれた場所に着く。
「ここが冒険者登録する場所だよ。あとはお姉さんの指示に従って」
「わかった、ありがとう」
促されるままアレンはカウンターの前に立ち、係員のお姉さんがニコリと笑う。
「いらっしゃいませ。冒険者登録ですね?」
「はい。お願いします」
「では、こちらの書類に必要事故を記入したのち、こちらの石板に右の手のひらをおいてください。」
アレンは、言われたとおりに書類に名前等を書き記した後、石板に手のひらを乗せた。その瞬間、石板は金色に光だしそれが10秒ほど続いた後光るのをやめた。
「はい。これで冒険者登録は完了です。」
「え、もう終わりですか?」
「はい。登録は終わりましたので、今から簡単にギルドに所属する冒険者に関する説明をさせていただきます。
まず、登録者にはG〜Sのランクがあります。このランクは最初はみなさんGからのスタートになります。冒険者登録をした皆様はギルドから発注されたクエストをこなしながら活動されることになると思いますが、このクエストには中にはランク制限の付けられた物もありそのようなクエストはそのランク制限を満たした冒険者様のみ受けることができます。ランクは強いモンスターを討伐したり、クエストの数を着実にこなしていけば自動で上がっていきます。」
「なるほど」
「そしてこれが冒険者の証である冒険者カードです。」
アレンはお姉さんから小さなカードを手渡される。
「そのカードは自分がギルド公認の冒険者であることを証明する他にも様々な役割があります。例えば、このカードは持っていると倒した魔物の記録を自動的に保存してくれます。クエストの成果を確認するのに必要なので、魔物を撃破する系統のクエストを受ける場合は必ず持ち歩いてくださいね。」
「わかりました。」
「ありがとうございます!…それにしてもおかしいですね…いつもはこんなに時間かからないんですけど…」
そう言いながらお姉さんが先ほど手を乗せた石板をチラッと見る。
「えっと、何かあったんですか?」
「はいりこの石板は触れた冒険者のスキルを映し出す神器なんですけど…お、出ました!って、え?」
手に持った紙を見てお姉さんは声を上げる。
「どうしました?」
「えっと…申し訳ないんですが、もう一度手を触れてもらうことはできますか?この子今日少し調子が悪いみたいで」
「わ、わかりました」
言われるがままもう一度石板に手を触れ、同じように石板は光を放った。数分経った後同じように紙を手に取るがお姉さんはまたしても不思議そうな顔を浮かべる。
「おかしいなぁ。もう何年使われてるかわかんないし壊れちゃったのかなぁ」
困惑しているお姉さんを前に何も出来ずたちすくんでいたアレンの頭にヴァルドの声が響く。
『おいアレン。この女の言うことは気にしなくていいから一回紙を受け取れ。』
「え?でも…」
『いいから』
「わかった。お姉さんとりあえず一回それ見せてもらってもいいですか?」
「え、は、はい。多分故障だと思いますけど…」
そうして手渡された紙に書かれた内容を見てアレンと横からチラ見をしたカイは驚きの声を上げる。
アレン
所持スキル
•毒耐性小
•毒耐性小
•毒耐性小
•毒耐性小
•毒耐性小
「え?」
「なになに?あ!?なんだこれ?こんなにたくさんあるのはじめてみたぞ!?」
そんな2人を見てヴァルドは心の中で少し笑っているようにアレンは感じた。
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