暴露狐の配信
青言 翔太郎
狐の配信
「皆さん!こんにちは!今月も暴露狐の配信始まり始まり!どうも相変わらずのキツーネです!」
僕が配信を始めるとあっという間に4000人が集まった。コメント欄は"お!始まった"や"やっと始まった!今日はどんな事をするの?"と言った温かい感激の言葉が並べられている。
「え〜、今日のゲストはこの方!木山 信男さんでーす!」
僕がそう言いながら、椅子に縛りつけた40代半ばの男性を配信画面を映すと瞬く間にコメント欄が盛り上がる。
「この方は最近やらかして炎上してる電気製品会社の社長さんですね!それでは最後のインタビューしていきましょう」
そう言うと僕は配信画面に映る男におもちゃのマイクを突きつけた。
男は下を向いたまま話し始める。
「どうしてこんな事するんだよ…なんで俺ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないだよ!!」
男の目には涙が滲んでいる。
それを見て僕は思わず、悪魔のような笑いを響かせてしまった。
男は涙を浮かべたまま、狐の面をつけた僕の顔をじっと見ていた。
男が今感じてるのは、絶望感かそれとも後悔か。まぁどっちを感じていても僕がやる事は変わらない。
「何が俺ばっかりって、笑えるね木山さん。
良いコメントありがとう!そんな木山さんにプレゼントがあるよ!」
そう言うと、木山は顔を顰める。その顔は明らかに怯えていた。僕はお構いなしにバックの中からスマホを取り出した。
「あ〜!大丈夫大丈夫!殺したりとかしないよ!じゃあこれ見てみてください。視聴者の方にも見てもらいたいので画面に映しますね!」
そう言って数秒後、視聴者と木山の目に映し出されたのはある一本の動画だった。
その動画は木山の妻と木山が溺愛していた一人娘が犯罪を犯し警察に追われるようになった事について話す動画だった。
妻、娘の順で木山 信男との思い出を話して居る。
思い出話が終わると、木山はさっきより目元を濡らしていた。
今更、後悔でもしたのだろうか。
でもきっと今、少なからず木山は最後に妻と娘の顔を動画の中ではあるが見れて嬉しく思ってるだろう。
でも、僕が求めているのはそんな感動じゃない。
僕は二人が木山 信男に最後に残した言葉を言うという一番感動的な場面に差し掛かるところで動画を一時停止した。
「さぁ!みなさんここからはショータイムの時間です!ここからは視聴者の方には木山さんのみ映った画面を見てもらいます!」
当然、コメント欄は批判の嵐だったが僕はお構いなしに配信画面を木山のみ映った画面に戻し、配信を続ける。
今は批判の嵐だが、2分後コメント欄は大盛り上がりだろう。
「では、木山さん。続きをどうぞ」
僕は優しく木山に声を掛けると。動画の続きを見せ始めた。
『夫、木山 信男への最後の一言はありません。今まで私が語った木山 信男は表面上の木山 信男で実際、旦那は何か気に食わないことが有れば家の中で大暴れ、挙句の果てには娘にまで虐待をしていました。娘ももう会いたくないと言っています。最後あえて言うなら、"一生私たちの人生に関わらないで"』
そこで動画は終了した。コメント欄は僕が予想した通り大盛り上がりだ。
木山はと言うと、もうどんな感情かわからない程に顔がぐちゃぐちゃになっていた。
「なかなかに面白い顔してますね!どうでした?動画の方は!あ!奥さんとお子さんにはちゃんと許可とってあるので安心してくださいね!」
木山の顔はは相変わらずぐちゃぐちゃだ。
「残念でしたね。新たな罪が発覚してしまって。あ!でもだからと言って木山さん自殺なんて考えないで生きててくださいね!じゃないと不公平なので。公平じゃないと被害者の方が可哀想でしょ?」
「う、あ、あ」
木山は言葉すら発せなくなる程絶望している。
良い取れ高だ!
「しっかり罪を償ってくださいね。それでは皆さん今回の配信面白かったらチャンネル登録といいねよろしくお願いします!では、また来月お会いしましょう!」
お馴染みのセリフを言い終えた後、僕は配信を終わらせた。
そして僕は身体を木山の方に向けて言った。
「コラボありがとうございました。ここに警察の方達を呼んであります。しっかり罪を償ってくださいね」
木山は俯いたまま動かなかった。
僕は外に止めてある自分の車に乗り込む。
ふとスマホを見た時、一通の通知が来ていた。
どうやら依頼のようだ。
僕は明日の10時に近くの公園で会う約束を取り付けた。
さて、次はどんな依頼だろうか。
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暴露狐の配信 青言 翔太郎 @SHOTA1014
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