第14話 新たな謎

遺跡の青緑の光が一斉に強まり、探査艇を包み込んだ。その輝きはモニター越しでも目を見張るほど眩しく、同時に低く深い音が船内を震わせる。その音はまるでメッセージを伝えようとしているかのように複雑なリズムを刻んでいた。


「また新しい反応か……」


村上が慌ててモニターに手を伸ばし、データを解析し始める。


「遺跡が何かを示そうとしている。」


高橋が冷静に指示を出し、全員が集中する中、画面に映像が現れた。その内容に、探査チーム全員の動きが止まる。


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映し出されたのは荒廃した地球の未来の光景だった。乾ききった大地、燃え尽きた森林、そして黒く淀んだ海。その上空を舞う青緑の光が、かつての繁栄を象徴するかのように虚しく輝いていた。


「これは……未来の地球?」


アヤが小さな声で呟く。


「違う……これは遺跡が示している可能性の一つだ。」


篠原教授の通信が探査艇に届く。地上チームもこの映像をリアルタイムで共有していた。


「このままでは環境破壊が進み、地球そのものが持たないという警告かもしれない。」


教授の言葉が重く響く。


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カイもまたその映像を見つめていた。人魚たちの間で語り継がれてきた伝説と、目の前の光景が重なり合う。


「この未来は……我々が避けなければならないものだ。」


低い音を響かせながら、カイがセイラに告げた。


セイラが頷きつつも、静かに言った。


「だが、人間たちがどれだけ真剣にこの未来を避けようとするか。それを見極める必要がある。」


カイは再び探査艇に視線を向けた。その窓越しに見えるアヤの表情には、深い決意が宿っているようだった。


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映像が途切れると同時に、遺跡の光が弱まり、探査艇内の空気が重く静まり返った。村上が慎重に口を開く。


「遺跡がこの映像を見せたのは……未来を変えろということか?」


アヤは深く息を吸い、言葉を絞り出すように言った。


「それだけじゃない。遺跡は私たちがどう行動するかを見ているのよ。」


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地上チームでも緊張が高まっていた。篠原教授はスタッフに向けて声を張り上げる。


「翻訳プログラムの解析を急げ! 遺跡がまだ見せたいものがあるはずだ。」


しかし、その時、別の通信が割り込んだ。政府機関からの緊急メッセージだった。


「篠原教授、遺跡の調査に国家の承認が必要です。すぐにプロジェクトを引き継ぎます。」


教授は眉をひそめ、通信に冷静な声で答えた。


「遺跡は誰かの所有物ではありません。科学者として、このプロジェクトの独立性は守ります。」


スタッフたちがその言葉に勇気を得る中、教授は静かに笑みを浮かべてつぶやいた。


「こんなときに政治を持ち込むなんて、まったく馬鹿げているな。」


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探査艇では、新たなメッセージが翻訳プログラムを通じて浮かび上がった。


「『選べ——未来の鍵を』」


そのメッセージを見つめながら、アヤはカイの姿に目をやった。彼もまた探査艇に目を向けている。その瞳には、未来に対する期待とわずかな不安が浮かんでいた。


「未来の鍵を……」


アヤが呟くと、高橋が深く頷いた。


「進むしかない。遺跡が示すその鍵を探し出すんだ。」


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遺跡の示す未来は、絶望と希望の狭間にあった。だが、その道を選ぶのは彼ら次第だ。探査艇と人魚たちは、遺跡の中枢に向けて再び動き出した。

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