第22話 令嬢は灯火祭に参加する③
私はまだ子供であることを配慮したのか、配られた地図に記された届け先は中央広場からあまり遠くない住宅街だった。歩いて10分ほどで、すぐに目的地に到着する。
おばさんが指示した通りに、門の前に飾られている花模様の折り紙が見つけ、ドアをノックして燈花を相手に渡した後、代わりに折り紙をを受け取った。
出会う方々には「小さいのにしっかりしているね」と褒められ、心の年齢はすでに18歳の私としては、物凄くむず痒い気持ちになっていた。
私たちが再び広場に戻った時、協力者たちの列はまだ続いていて、さっきのおばさんとお姉さんが明るい笑顔で並ぶ人々と話をしながら、私の持っていた袋よりも明らかに大きな袋を相手に手渡しているのが見えた。
やはり私の袋は子供用に準備したものですね。
忙しそうに働いている彼女たちを邪魔するのは悪いと思い、私は少し離れて周囲を見回していた。
ちょうど横から仮面を被った男の子が私と同じサイズの袋を抱えて走っているのが見えた。あの子はある大柄のおじさんの前で止まると、袋を高く挙げて、大きな声で言った。
「おっちゃん、これ、ちゃんと配ったぜ!お菓子をくれよ!」
「はいはい、坊主は早いな、ほら、お礼のお菓子だ」
「おお、ありがとな、おっちゃん!」
どうやら私と同じく配り終わった子供が帰ってきたようで、そしておばさんが言ってたプレゼントはお菓子ということも分かった。
今隣に並んでる燈花を受け取る列がまだ長いことを考えると、私はお菓子よりも燈花が貰えるほうがいいと思って、隣のライラに質問を投げる。
「ライラ、折り紙を渡したら、お菓子の代わりに燈花も貰えるかな?」
「大丈夫だと思います。あの方の隣に置いた箱からは燈花の香りがしていますので、今回祭りの担当者たちの分かもしれませんね」
ちゃんとライラの確認を得られて、私は安心して、男の子がはしゃいで何処かへ走って行ったのを待ってから、そのおじさんに近づき、少し遠慮がちに声をかける。
「あの、すみません。おじさん、私も配り終わったの、プレゼントはここで受け取るの?」
おじさんが『はい』と答えた後、それから私は『プレゼントではなく、代わりに燈花を貰えたい』を口にしよう、と脳内シミュレーションをしている時、逆に、おじさんが大きな声で尋ねてきた。
「おう、嬢ちゃん、なんだい?迷子か?」
どうやら、またも声が小さかったせいか、おじさんには私の言葉が届いていなかったようだ。
「違います、迷子じゃないです、お姉さんと一緒に来たの」
そう言って、私はさっき配達の途中で仕方なく、一度離したライラのマントをまた掴んで、私たちは一緒に来たことを示す。
隣に立っているライラの肩が不自然に震えているのを見えた。
彼女はきっと私を笑っているのに違いない。
私は少し悔しくなり、言い方を変え、もう一度おじさんに声をかける。
「折り紙を持ってきました、だから、燈花を――」
「おお、ちっこいのによく頑張ったな、偉いぞ」
私は先ほどの男の子と同じ要件と知ったおじさんは、
「ありがとう」
私は彼の声に押されて、自然と折り紙が入っていた袋を彼に渡し、水色の袋を受け取った。
内心、少し悔しく思った――どうして皆口々に小さいと言うのでしょうか?確かに私は今、8歳の体で小さいけれど、それだけでそんな風に言われるのは不思議だわ。
私の背後で待っている人の視線を感じ、彼らの邪魔にならないように、早くこの場を離れようとしたが、ハッと自分がまだ燈花を替えていないことに気づき、急いで声を上げる。
「あの、すみません。燈花!おじさん、私は燈花を二つ欲しいですけど、お菓子を返しますので……」
「ん?おう、燈花な、親に頼まれたのかい?」
そう言いながら、おじさんは隣に置かれた箱から、手際よく燈花を二つ選び、私に手渡してくれる。
「ほらよ、この二つはどうだい?綺麗に保存されてるし、花弁もでかいだろ」
「あ、ありがとう存じます!」
無事に受け取った燈花を見て、安堵の息がこぼれ、気を抜いた瞬間、私はうっかり丁寧な口調でお礼を言ってしまった……
***
私とライラは、今商業ギルドのホールで番号『8』の木版を持って、受付を待っている。
待っている間、私はずっと水色の袋に入れた燈花を見つめ、心の中で花と会話をしている。
(お母さん、あの世界のエマさん、聞こえますか?
私はいま元気ですよ。最近、仲間を一人得られました。ライラという名前で、とても頼りになる人なんですよ。
それと、私の魔力量もレベつ2に上がったんです。でも、それ以上に上げるのが少し難しくて、少し行き詰まっているところです。
だから店の手続きが終わった後に、もし時間があれば、冒険者ギルドに依頼してみようと考えています。
あ、でもその前に、雑貨屋にものを売って、少しお金を得なければならないわね。
今日は初めて城下町に来たのわ、これが過去にないことでね。前は13歳のとき王都の学園に通うため、馬車で通っただけで、城下町をじっくり見ることはありませんでした。
その時は外の世界には何も関心がなかったけれど、今思えば、もっと外のことを見ておけば良かったと思います。
でもやはり…きっと、あの時の私には、踏み出す勇気がなかったわ。
……)
今この世界で元気に生きているエマさんには少し申し訳ないけれど……私は心の中で考えたことが口に出ないように気をつけながら、最近の出来事について、何の順序もなく、長々と天国のお母さんとあの世界のエマさんに話し続けた。
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