夢の渦いまだ遠い

mukko

第1話 王子

昔日の王子は海綿二つ、

結婚適齢 夢の渦。

父王が望むは車門二枚、

しかし世間にそんな娘いない。


王子は独り、無念の終焉、

魂彷徨う、果てなき庭園。

二枚の車門 持つ者探し、

けれども答えは風の彼方に。


疲れ果てて、彼は決意す、

人々の鼻に海綿を擦る術。

その日より世に感冒現れ、

鼻塞ぎ 苦しむ声が高鳴れ。


王子の海綿が鼻奥拭えば、

ふいに塞がる空気の流れ。

拭き終わりて、息は戻るが、

残る清潔剤 涙の川。


かくして人々 鼻水流れ、

幽霊の仕業と知るがよし。

鼻塞ぎし時、彼の想い、

車門二枚の夢、いまだ遠い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る