第一ラウンド

第1話 1日目の昼・夕方

 第一ラウンドが開始。全員、トランプサイズのカードを捲り役職を確認。僕、テツも役職を確認した。


「二重人格(狂人)」だ。


【ルール】


・八名の中に人狼が二名いる。人狼はいてはならない。

・一夜ずつ疑わしい人物を投票で決め処刑する。

・生存者が三名になって、その中に人狼がいた時点で人狼陣営の勝ち。人狼二名が処刑された時点で村人陣営の勝ち!

・本作では、処刑はビリビリ椅子を使い、実演する!


【役職】


村人……不安に怯えながら生活する村人。特殊能力はない。3名。

人狼……人をくう人狼。いてはならない。”夜”、1人まで好きなプレイヤーを食える。2名。

占い師……生存者の誰が村人かを1人まで占える。1名。

騎士……”夜”、自分以外の誰かを人狼から守れる。1名。

二重人格(狂人)……人狼が有利になるように持ち込める。人狼ではないが、人狼陣営。1名。


「人狼の確認をします。人狼じゃない人は目を伏せてください!」


 僕は伏せた。数秒後、確認が終わる。全員が起きてきた。

 僕は自然なふうを装いながら、メンバー全体を見渡した。一人だけ明らかに怯えているのがある。棒人間・ヒトだ。


「これはどっちだ……? 人狼か、村人か」僕は悩んだ。棒人間はアラバキ一ビリビリ椅子を嫌う人種だ。


 すると、棒人間が僕に目配せしてくる。


(僕を騎士だと思い込み、助けて欲しいとねだっている? あるいは僕を占い師だと思い込み、自分の潔白を証明して欲しい? 

 あるいは僕を村人だと思い込み、同類だと安心している?

 最後に棒人間が人狼の可能性もあるな……。その場合、)


「彼は、僕の正体を見破っているのか?」自然と声が出た。


 棒人間がうなずいた。”昼”の会合が終わり、夕方、三分間の会議が可能な時間がやってきた。


 棒人間が僕の方に駆け込んできて、「人狼だろ?」と聞いた。普段の棒人間なら、「人狼じゃないの?」だが、流石に声が強張っている。

 僕は首を振った。


「起きてはなかったけど、あの時確かに手を上げていた!」


 僕はこっそり棒人間に伝えた。「キョ、ウ、ジン」


 棒人間の顔が一気に驚愕に包まれ、武者ぶるいを始めた。


「どうしたん? テツが人狼……?」


 まずい、こりどうがやってきた。いや、僕ごまかすの下手なんですが……。


「あはは……ううん、違うよ〜! 棒人間はねぇ、——違いそうだけどなぁ」


「なんでそないなことがわかるん?」


「……あ、えーとそのー」


「ひとまず、テツは狂人か騎士のどっちかやな」


 よかった、とテツは胸を撫で下ろす。隣で棒人間はびくびく震えているが。あとはこりどうに自分は騎士だと思い込ませればいいだけだ。

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