第18話

何かを得るには、持っている何かを差し出さなければならない。




私にとっては、それが自分自身だっただけのこと。




他には、何も持っていないから。




「…あの男だって、」



今日の、私の一夜の宿主に過ぎない。






そんな街を黙々と歩き続ける。




「――あれ?」




人混みからふと視線をずらした私の視界に、見慣れない道を見つけて歩みを止めた。




ここら辺を気にすることなく歩いていたから、きっと見落としていたんだろう。




「………。」



少しの、好奇心。

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