第8話

それも、一瞬。



「ーーあまりにも煩わしい女は、俺の前から消したくなるからな。」




そんな私の側で、男は冷たい声で呟いた。



これが、本性、か。



「―――…」



どうやら、やばい奴の興味を引いたらしい。




厄介な事だ。



「……面倒な。」




ぽつりと呟き、小さく溜め息を吐き出した。




機嫌良く私の髪を梳く俺の、その行為を拒否する訳でもなく、喜ぶこともない。




こうして受け入れるのは、ただ、疲れた体を動かすことも億劫で仕方なだけ。

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