第14話

雨宮ファミリーの一員である事はやはり大きかったらしく、伊庭はドラマのヒロインの親友役の仕事を取る事が出来た。

「本当にドラマに出られるの?」

絵里香は感激のあまり、声が上擦っていた。

「絵里香が雨宮ファミリーの一員である事が今回の仕事に繋がったのです」

伊庭ははっきり言った。

「絵里香の名前はそれだけ売れていると言う事です。このドラマが成功すれば女優としての道が拓けるでしょう」

今は雨ラックスの本番のスタンバイ待ちであ

る。

「この仕事は無駄ではなかったのね…… 」

絵里香は声を詰まらせた。

初めて雨ラックスの仕事をしていて良かったと思えた。

「絵里香、無駄な仕事など一つもありません。どんな仕事でも一生懸命やれば必ず見ている人がいます」

絵里香は涙ぐんでいる。

伊庭はそっと絵里香の肩に優しく手を掛けた。

「自分を信じるんです」

伊庭のその言葉を、絵里香は胸にしまってい

た。

その時、スタッフがスタンバイを知らせにやって来た。

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