第29話
クリスマスがやって来た。
心結と大家は台所に缶詰めになっていた。
フライドチキンに海老フライ、ハンバーグなどのプレートに、ポタージュ、シーフードサラダ、サンドイッチ、お寿司、ケーキ。
お寿司とケーキは買ったが、それ以外は2人の手作りである。
全員顔を揃えるべく、長谷部も定時で帰る事にしていたし、暖希も7時迄で戻って来る。
こうして6人が全員揃って細やかなパーティーを開いたのである。
大家からは全員にブランケットのプレゼントがあった。
泉野と岸田は大感激した。
小説を打っていたり、勉強をしていると膝が冷えるのである。
「俺ら4人からお母さんと心結ちゃんへ」
「レストランのチケットだ」
心結と大家は顔を見合わせた。
「海の見えるレストランとして評判高いんです。正月にでも行って下さい」
泉野が言った。
「ありがとう」
正月は下宿人は全員故郷に帰るので、また2人になる。
「お前、好きな人はいるの?」
下宿人達の気持ちのチケットを使って心結と母親は海の見えるレストランに来ていた。
1月2日である。
明日の夜には下宿人達が帰って来る。
岸田だけが予備校が始まるのが8日からなので、それまでに帰って来るとの事だった。
「まさか下宿人の中にいるわけじゃないよね」
母親の声のトーンが変わった。
「違うよ。同じ学校の人」
サラッと言って心結は咄嗟に口を塞いだ。
「そりゃお前だって高校生だから好きな人の1人ぐらいはいるだろうよ。今度うちに連れておいで」
「片想いだから」
「おや、そうなの?じゃあまずは告白からだねえ」
「もう!お母さんったら!首突っ込み過ぎ!」
心結はそう言って膨れた。
母親は笑い出した。
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