種を蒔く人々

第21話

都の一角、工場街の薄暗き一堂に、労働者たち集まり、資本家に対し弾劾の声を挙げたり。場は、かの曇天のもと、人々の顔は闇に包まるるがごとく、怒りと疲労にまみれた面持ちにて、彼らの姿は一つの意志と化し、抗議の炎を燃やしつつ立ち尽くしていたり。

労働者代表・大村清太郎が壇上に立ち、その声は堂内を震わせるごとく響けり。「我らは日々、汗と血をもってこの国を築き上げ、工場にて働きしは、貴殿ら資本家の富を膨らますためにあらず。我らの血と汗を搾取し、己の繁栄のみを追求するは、不義の極みなり！」と、その声、烈々として、人々の胸を貫きたり。

次いで、大村の背後に立ちし労働者らが、声を揃えて訴えたり。「我らが耐え忍びし低賃金、過酷なる労働の果てに、貴殿らは奢侈を極め、民の苦しみには顧みざるとは、いかに許されるべきか！いまや我ら、声を揚げるのみならず、貴殿らの手より富と権力を奪い返す覚悟を持てり！」

かの弾劾の声は、いよいよ鋭さを増し、集いたる群衆の眼は燃ゆるごとく、壇上に引き出されし資本家に鋭き視線を浴びせたり。資本家たる中川は、場の空気に圧され、額に冷や汗を浮かべながら、もはや反駁の言葉も無き様子にて立ち尽くすばかりなり。何度か己の身を守らんと弁解を試みしも、労働者の叫びはそれを遮り、怒号と共に声を重ねたり。

「中川殿、貴殿の利益のために我らは家族を顧みず、身を砕きしなり。我らの要求は正当なり。いまここに、その搾取の証を暴露せん！」

会場の一角に置かれたる木箱の中より、一人の労働者が労働記録と帳簿を掲げ、次々に高らかなる声にて読み上げたり。その内容は、過酷なる労働時間、不当に削減された賃金、低劣なる労働環境を証するに足るものであり、労働者たちの怒りは再び燃え上がり、人々の顔には決意が漲りていたり。

「この富は我らが流しし汗と血によりて成り立つもの。我らは、これを取り返す！」と、群衆の怒声は響き渡り、資本家に対する憤怒は、まさに時の権威をも揺るがす勢いを持ち、ついにはその場に一同の決意として結晶し、貴族的なる権威の崩壊の兆しを感じさせたり。

弾劾は、怒涛の如く続き、資本家たちが築き上げし富と権威の象徴が、一人ひとりの声と共に砕け散り、新たなる労働者の時代が兆しを見せ始めたり。人々の胸中には、長き日々の抑圧より解き放たれし喜びと、未来への不動なる意志が、すでに芽生えていたるなり。