第21話 奴隷傭兵、妖魔討伐をする

 ここで泊りがけで妖魔どもを討伐していく。エルによれば、この辺りはゴブリンなどの低級妖魔しかいないそうだ。ホブゴブリンなんかの中級妖魔以上なら、調教師が喜んで戦闘従魔として調教するだろう。


 だがゴブリンは知能が低すぎて合図などが理解出来ないことから、討伐対象でしかないとのことだった。今回は荷馬車は持って来てない。俺たちがゴブリン討伐をしてる間に馬が食われる可能性があるからだ。森の入り口に立つと、背の高い木々に囲まれて気分が落ち着いた。


 木々や葉っぱの香を嗅ぎながら三十分も進むと、暗くなってくる。日光が重なり合う葉に遮られて下まで届かない。さらに奥へと進んで行くと、洞穴の近くでたむろしている五匹のゴブリンを見つけた。俺は手で後ろから付いて来ているエルに合図を送る。


 俺の合図を見てエルはするすると木に登っていった。あいつまで近くに居たら俺が殺しちまうかもしれねぇ。そうしたら俺は下手したら一生狂戦士のまんまだ。いや、ただのイカれた殺人鬼になっちまう。そんな妄想をしながら、少しずつ近づいて行く。


 近くまで寄って辺りの気配を探る。周囲には他の妖魔の気配はなかった。自分の意識を『自我』に集中させる。今度こそは最後まで俺自身でありたいところだな。木の陰から飛び出し、俺は一気にゴブリンどもとの距離を詰めていった。ゴブリンたちは俺の存在に気が付くと慌てて手近にあった武器を取り上げ、唸り声を上げながら威嚇をする。既に俺の狂戦士化は始まっていた。


 狂戦士化すると、一切の恐怖感が消えてただひたすら高揚感だけが沸き上がる。構わず突進していき、最初の一匹目の首を瞬時に刎ねた。打ち込まれた棍棒を身を捻ってかわしながら回転斬りで二匹目。三匹目と四匹目が同時に棒と棍棒で迫って来るところに、剣を振り抜く。


 タガが外れた筋力の上昇のせいで、二匹とも身体が真っ二つに斬り裂かれた。斬り裂かれて空に浮かんでる上半身を、五匹目がいる方に蹴り飛ばす。飛んで来た仲間の死体にぶち当たり、バランスを崩して倒れたところに剣を突き立てた。


 ・・・・・・終わった。意識は・・・・・・ある。俺のなかで初めて希望のようなものが見えた気がした。


「エル、降りてきていいぞ」


 俺は振り返って木の上に登ってるエルに声を掛けた。返事がない。木の上にいるはずのエルの姿が見えない。


「エル!どこだ!」


 俺が大声で叫ぶと、俺たちが来た道の外れからエルが叫ぶ声がした。その声のする方へ全力で走り出す。エルは逆さづりに引きずられてゴブリンの群れに消えていくところだった。その姿を見た瞬間、俺は怒りの咆哮を上げる。


 斬りつけ、柄で殴り、膝蹴りで頭を潰し、目玉を突き刺していく。滅茶苦茶に戦い続け、気が付いてみれば三十体近くの死体が俺の周りに散乱していた。最後の一体の首を斬り飛ばし、エルに近づいて行く。



【後書き】


 お読み頂き、ありがとうございます。


 この作品はカクヨムコン参加作品です。


 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。


 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。


 よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る