第14話 奴隷傭兵、狂戦士になる
訳が分からんが、とにかく涙を拭って立ち上がる。まだ頭は夢と現の間を彷徨ってるらしく、どうにも意識がはっきりしない。俺が半分寝ぼけながらさっきの神殿長が居た部屋に戻って見ると、エルが先に神殿長と話し込んでいた。エルと話し込んでいた神殿長と目が合う。彼は穏やかな表情で話しかけて来た。
「ご気分はいかがですかな?」
「はっきり言って、最悪な気分だ」
俺の返答の何が面白いんだか、それを聞いてふたりとも笑っていた。
「夢をご覧になりましたか?」
「ああ、訳がわからん夢だったがな・・・・・・」
神殿長は頷いて続けた。
「夢の内容は人それぞれです。私から尋ねるようなことはしません。私からお伝えすることは、あなたがたの潜在適正についてのみです。すでにこちらの方にはお伝えしました」
エルは神殿長の言葉にいちいち頷いている。
「さて、バーン殿。私としては非常に伝えづらいのですが、あなたの適正は狂戦士です。適正度はここに記されてある通りです。スキルは『引』です」
神殿長が開いた紙には適正度SSSとなっていた。適正度ってのはよくわからんが、狂戦士という単語と言い方に引っかかった俺はすぐさま尋ねる。
「なぁ、狂戦士ってもしかして敵味方問わず戦っちまうってことか?」
「まず狂戦士について説明をさせてください。あくまで潜在能力に過ぎませんが、狂戦士とは人の持つリミッターを外すようなもので戦士の適正を持つ方より遥かに強い力を持つ者です。適正に狂戦士と出る方は非常に稀です。私が鑑定したなかではあなたを除いてたったひとりだけでした。しかも適正はせいぜいEです。あなたの適正はその意味では桁違いに優れているといっていいでしょう」
神殿長の言ってる適正度でいえばSSSクラスは最高位の適正度だそうだ。
「そして、あなたの危惧する通り狂戦士に適正を持つ者は人並み外れた『力』を持ちますが、それは己以外の全てに対して向けられることになります・・・・・・つまり、大変申し上げにくいのですが、そういった意味では非常に危険視されております」
聞かなければよかった・・・・・・。俺はエルの言葉を思い出す。一度自分の適性を認識しちまったら、発動する適正。
下手したら、今後俺が戦闘をすれば周囲の人間か自分が死ぬまで戦っちまうってことじゃねぇか。
「あの」
神殿長の話と俺のやり取りを聞いていたエルが途中で口を差しはさんだ。
「適正とは別に『引』というスキルを持ってますよね?あれはどういうスキルなんですか?」
「適正以外にスキルを持っていること自体、とても珍しいことなのですが。残念ながら初めて見るスキルで、私にも詳細がまったくわかりません。ただ・・・・・・」
神殿長は少し考えると再び口を開いた。
【後書き】
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