第3話 星を繋ぐ者たち②

シーン2: 『星々を追う旅人』


場所: イタリア・フィレンツェの天文観測所


夜明けが近づく頃、フィレンツェ郊外にあるルカの小さな天文観測所。円形の窓から星空が見え、部屋には天測儀や星図が散らばっている。


【情景描写】

観測所は木製の机と書棚が並び、蝋燭の火が揺らめいている。壁には天文学に関する古い書物や星の軌道を描いた紙が貼られている。ルカは机に向かい、大きな星図に向かって細かな線を書き込んでいる。


ルカ(独り言)

「この位置だ…。もし観測が正しければ、惑星はこの軌道を描くはずだ。」


彼の目は疲れで赤く充血しているが、手元の星図を見つめる視線は鋭い。


【キャラクター描写】

ルカは教会の司祭としての地位を持ちながら、秘密裏に地動説の研究を進めている。彼の観測所は、学問を追求する者たちの隠れ家でもある。


扉が静かに開き、影が差し込む。そこに立っているのはアナスタシアだった。


【会話】

アナスタシア

「ルカ先生、やはりここにいましたか。」

(星図を見て微笑む)

「あなたが手に入れたこのデータ、教会の司祭が持つには危険すぎる代物です。」


ルカ

「アナスタシア…夜更けに一人でここに来るとは、君も危険を冒している。」

(少しの沈黙の後、星図を示しながら)

「だが見てくれ、この結果だ。この観測データは確実に地動説を支持している。星々が動いている理由は、地球が――」


アナスタシア

(ルカの言葉を遮りながら)

「分かっています。でも、だからこそ急ぐ必要がある。ナディアという航海士が私たちと協力してくれる可能性があります。」


ルカ

「航海士?この時代に、地動説を信じる者がそんなにいるとは思えない。」


アナスタシア

「彼女は星を頼りに航海し、私たち以上に星々の動きに精通しているはずです。彼女の知識があれば、理論をさらに補強できます。」


【場面転換】

二人が話している間、窓の外には教会の見張りの影が見え隠れする。アナスタシアはその気配に気づき、警戒する。


アナスタシア

「先生、話は後にしましょう。ここも安全とは言えません。」

(星図を持ち、急いで観測所を出る)


ルカ(モノローグ)

「星々を繋げる旅人か…。ならば、私もこの小さな観測所で星を追い続けよう。」


蝋燭の火が一瞬揺れ、静寂が観測所を包む。


【次の展開】

この後、アナスタシアとルカはナディアと接触を図り、彼女の航海記録と地動説の理論を結びつけようとする。しかし、その裏で教会は密偵を送り込み、彼らの動きを探り始める――星々の真実を追う旅が、大きな危険を孕みながら動き出す。

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