私たちのヒートショック
星咲 紗和(ほしざき さわ)
本編
冬になると、私たち家族にとって最も気になるのが「ヒートショック」という言葉です。最初はテレビやインターネットで耳にした程度の言葉でしたが、今では私たちの日常生活に深く関わるテーマとなっています。私自身が糖尿病を患っており、高齢の両親も共に暮らしていることから、この現象がどれほど身近で危険なものかを実感する日々です。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度変化によって体がショック状態に陥ることを指します。特に冬場、寒い脱衣所や廊下から暖かいお風呂へ移動する際や、入浴後に再び冷えた空間に戻る際に発生しやすい現象です。この急な温度差は血圧を大きく変動させ、心臓や脳に負担をかけることで、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めます。
特に糖尿病患者や高齢者は、ヒートショックのリスクがさらに高いとされています。糖尿病は血管や神経にダメージを与え、血圧や体温調節機能が低下することがあるためです。高齢者の場合も、体の適応能力が低下しているため、温度差への対応が難しくなります。
私たち家族は、こうしたリスクを認識し、小さな工夫を重ねながら安全な日常を守ることに努めています。
家族で取り組むヒートショック対策
私たち家族が最初に始めたのは、家の温度差を減らすことでした。冬場の脱衣所や浴室はとても冷えるため、ヒートショックが発生しやすいポイントです。これに対処するために、浴室用暖房機を設置し、脱衣所にも小型のヒーターを置くようにしました。また、リビングから浴室までの廊下にも、断熱カーテンを設置して冷気が入り込まないよう工夫しています。
湯船の温度にも気を配ります。以前は少し熱めの42℃のお湯が好きだった両親も、今では40℃以下に設定することに納得してくれました。これだけでも血圧の急激な上昇を抑えることができるのです。また、長湯を避けるため、キッチンタイマーを使って入浴時間を10〜15分程度に制限する習慣も取り入れました。
さらに、家族で「声かけ」を欠かさないことも重要な取り組みです。例えば、私が入浴する際には母に「今からお風呂に入るから、何かあったら呼ぶね」と伝えるようにしています。両親についても同様で、できる限り一人での入浴を避けるようにしています。これらの習慣は些細なものに見えますが、いざというときの安心感を大きく高めてくれます。
日常の健康管理が鍵
ヒートショックの予防には、日々の健康管理も重要です。私自身、糖尿病の管理の一環として、毎日血糖値を測ることを習慣にしていますが、これに加えて血圧の記録も始めました。入浴前後に血圧を測定することで、自分の体がどのように反応するのかを知ることができます。
また、入浴前にしっかりと水分を摂ることも大切です。冬は夏に比べて水分摂取が少なくなりがちですが、体が脱水状態になると血液がドロドロになり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。温かいお茶やスープなどで体を内側から温めながら、十分な水分を補給するよう心がけています。
食事もまた、重要な要素です。塩分を控えめにし、バランスの良い食事を取ることで血圧を安定させることができます。母が料理上手なこともあり、家族全員でヘルシーな食事を楽しむ時間が増えました。
私たちにできること
ヒートショックは、特別な機器や知識がなくても防げるものです。温度差を減らす工夫、湯船の温度管理、声かけや見守りといった小さな取り組みが、大きな命を守る結果につながります。
この冬、私たち家族は引き続きヒートショック対策に努めながら、健康で安全な日々を過ごすつもりです。そして、この経験を通じて、多くの方々にも「ヒートショック」という身近な危険について知っていただけたらと思います。特に、高齢者や糖尿病を抱えるご家族がいる方にとって、この情報が役立つことを願っています。
「私たちのヒートショック」というテーマを通じて、多くの人が自分自身や家族の健康に改めて目を向け、小さな工夫から安心できる暮らしを築いていく――そんな未来を描きたいと思っています。
このエッセイが、誰かにとっての小さな気づきや行動のきっかけになれば幸いです。
私たちのヒートショック 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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