陰キャ幼馴染と大学で再会したら淫キャになっていた

田中又雄

第1話 始まりと再会

流風るかくん...す、好き...で...す!//」


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089561820023


 正直、幼馴染である莉愛乃りあのの気持ちには気づいていた。


 莉愛乃とは幼稚園から中学卒業までずっと一緒だった。


 そして、この中学卒業後、お互いに違う高校に行くことになるからこそ、このタイミングで告白してきたのだろう。


 莉亜乃は大人しくていつも本を読んでいるような女の子だった。

メガネをかけて、三つ編みで...地味キャラというか、悪く言えば隠キャだった。

けど、俺なんかよりずっと頭が良かったからこそ、俺とは違い頭のいい高校に進学することになったのだ。


 しかし、中学生ということは思春期であり、妙なテンションというのか、気恥ずかしさとプライドの狭間で生きているということだ。


 俺はその頃ちょっと陽キャグループともつるんでいたし、どこかで莉愛乃に対して劣等感を抱いていた。


 同じ道を歩んでいたはずなのに、引き離されて見下されているような...。


 何が言いたいかというと、俺も好きだったのだが、素直になれなかったということだ。


「...は、はぁ?誰がお前みたいな隠キャと付き合うんだよ」と、少し照れながら素直になれない俺はそう言ってしまった。


「...そうだよね。ごめんね」と、いうと莉愛乃は走っていなくなってしまった。


 呼び止めようとした俺の手はまたしても思春期のプライドにより、止められた。


 後悔はしている。

何度も考えたことがある。

家に行ってあの時のことを謝ろうって。


 しかし、結局はそれも叶わなくて、高校に入った俺はうまくクラスに馴染めず見事に隠キャボッチになり、頭の悪い高校で最悪の青春を謳歌した。


 このままではまずいと、自分を変えるためにめちゃくちゃ勉強を頑張り、この度いい大学に進学が決まったのだ。


 物語はそこから始まる。


 ◇


 頭のいい大学に入り、環境は大きく変わる。

つまらない青春を謳歌するのはもううんざりだ。


 そう思いながらも結局見た目を変えるだけの勇気は湧かず、今まで通りのダサい自分で大学に向かっていた。


 ダサいのは承知だが、ダサいを3年もやれば、もう何がかっこいいのかも分からないのだ。


 そんな言い訳をしながら、入学式に向かっていた。


 すると、恐らく同じく1年生と思われる陽キャな男女グループが6人、前を歩いていた。


 派手な髪色と派手な服装で、我が物顔で歩いている。


 その少し後ろを1人で歩いていた。


 すると、聞きたくもない会話が聞こえてくる。


「まじそれなw性欲お化けかよw」

「ウケるw確かにw何考えてんの?w」

「そういえば、学校でオナッてた性欲お化けもここにいるよねー?ねー?莉愛乃〜」


 そんな声が聞こえて思わず、彼女たちを見つめてしまう。


 声の主の目線の先には1人の金髪美少女がいた。


「まぁね〜w教室でやるとマジ堪んないからオススメだよ?w」と、軽快に笑う1人の女の子。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089561843312


 もう見た目は全然違うのに、それが幼馴染の莉愛乃であることは俺にはすぐわかった。


 その瞬間、色んなことが混ざった俺は思わず、「り、莉愛乃!」と声をかけてしまった。


 多分、昔のことを謝りたかったんだと思う。


 けど、その声で6人が全員振り返ると、「誰?あのインキャw知り合いなの?莉愛乃」と先ほどの女子が話を振ると、「知らない。あんなインキャ」と冷たくつまらなさそうに目線を外しながらそう言った。


 因果応報...か。


 俺の物語はここから始まった。

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