やっと

「あ、愛羅……」


 口の中で舌を絡められ、愛羅はもう俺に抵抗する気が無いと思ったのか、キスをやめてくれた。


「ヒロト、当たってる」


「ッ、そ、れは……」


 何のことを言っているのかなんて考えるまでもない。

 ……だって、仕方ないだろ!? 映画館でしたのが初めてのキスだったのに、一日の間に舌を入れるキスまでされたんだぞ!? ……当たり前だけど、それも初めてだ。

 こんな快楽も、初めてだったんだよ! そうなってしまうのなんて、仕方ないだろ!? ……愛羅のことを娘じゃなく、女の子として意識し始めたのなら尚更さ!


「嬉しい。……私も、気持ちよかった。ドキドキ、してる」


 大胆な行動をしてきながらも、愛羅も羞恥心が無い訳じゃないのか、顔を赤くして、そう言ってきた。


「ヒロト」


「な、なん、だよ?」


「あっちで教えてくれた性教育? っていうの、もっとちゃんと教えて」


「ッ」


 どういう意味で言っているのかなんて考えるまでもなく理解出来た。

 だって、そもそもの話、その言葉と同時に、愛羅はただでさえくっついていた体を更に押し付けてきたんだから。


「ま、待ってくれ」


「やだ。知識だけじゃなくて、私の体に、ちゃんと教えて?」


「ち、違う、ほ、本当に、待ってくれ……あ、あれだ。俺は、愛羅が好きだ。娘として、とかじゃなくて、女の子として、俺は愛羅を愛してる」


「ッ、ほんと?」


 俺の言葉を聞いた暴走気味だった愛羅は、体をくっつけたままではあるけど、押し付けてくるのはやめて、そう聞いてきた。


「ほんと、だよ」


 告白なんてまだ人生で一度もしたことがなかったし、こんなんでいいのかも分からないし、死ぬほど顔が熱くて恥ずかしいけど、今、言わないとこのまま愛羅に無理やりされると思ったから、言ったんだ。


「……嬉しい。……ヒロト、好き!」


「俺も好きだよ」


「両思いってことは、もう、いいよね? しよ? ヒロト」


 愛羅は嬉しそうに小さく首を傾げて、そう言ってきた。


「い、今はダメ、だな」


「……なんで? 私はヒロトが好き。ヒロトも、私が好き。なんで、ダメなの? 私、ずっと、我慢してた。やっと、ヒロトが私を女の子として好きになってくれたのに、なんで? なんでダメなの?」


「お、落ち着いてくれ、愛羅。そ、そういうのは、避妊とか、しなくちゃダメだろ? 俺はまだこっちの世界じゃ子供だし、責任とか、取れないんだよ」


「……なら、いつ、出来る?」


「……明日、準備はしておくから」


「なら、明日出来るってこと?」


「……」


 正直、愛羅のことを異性として……女の子として好きだと自覚した今、めちゃくちゃしたい気持ちはあるけど、いきなりすぎて心の準備が出来てないというか……さ。

 ……はい。そうです。ヘタレてるんです。


「ヒロト?」


「……と、取り敢えず、明日のことは明日考えよう。な?」


「…………わかった。でも、これ、どうするの?」


「……愛羅が体を離してくれたら、収まるよ」


「やだ」


 嫌かぁ。

 ……俺も別に嬉しいんだけどさ。…………まぁいいか。俺が我慢したらいいだけの話だし

 本当に好きだったら、それくらい、我慢出来るもんな。

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