第3話

クリスマスイブの夜、彼女と彼はそれぞれの場所で静かな時間を過ごしていた。彼女は最終的に仕事を終え、少しだけ自分の時間を持つことができた。部屋の隅に飾られた小さなクリスマスツリーが、暖かな光を放っている。外では冷たい風が吹いているが、部屋の中はほのかに温かい。


彼女はソファに座り、スマホを手に少しだけ不安になった。しかしすぐに、画面に彼からのメッセージが表示された。


「お疲れ様。今、やっと終わったよ。」


彼女はそのメッセージを読んで、思わず微笑んだ。「やっと終わったんだ…」彼女は心の中で彼の頑張りに感謝の気持ちを込めて返信を打つ。


「お疲れ様!私も今終わったところ。明日には少しゆっくりできそうだね。」


その返信を送った後、彼女は少しだけ窓の外を見た。星が綺麗に輝いている夜空に、少しだけ寂しさを感じる。今日は彼と過ごすことはできないけれど、少なくともこうして連絡を取ることで、何とか心が温かくなっていた。


その時、また彼からメッセージが届く。


「こんな形でしか言えないけど、君にしあわせなメールを送れてうれしい。」


彼女はその言葉を読んで、胸がじんと熱くなるのを感じた。彼の気持ちは確かに自分にも届いていて、そんな単純な言葉でもこんなにも心が温まるのかと思った。


「私も嬉しいよ、こうして繋がっていられること。」


返信を送った後、彼女は深く息をついて、リラックスした気持ちになった。時間はもう遅く、12時が近づいている。今日は会えなかったけれど、このメッセージがあるだけで、心は少しだけ近く感じる。


その瞬間、彼女の心の中で「いつか、また二人でクリスマスを過ごせる日が来る」と静かに思う。それは、未来への小さな希望のようなものだった。


一方、彼もまた、自分の部屋でメッセージを送りながら、彼女のことを考えていた。忙しさに追われる毎日だったが、こうして少しでも思い合えることに、深い安心感を覚えていた。


「好きだよ。」


その言葉が送信された瞬間、彼はほっとしたような気持ちになった。何も特別なことはなかったけれど、心が温かくなるこの瞬間が、今の自分にとっては一番大切なことだと感じていた。


そして、彼女は穏やかな気持ちを抱えて眠りについた。

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