21話 ラファロエイグ

 一発目の合技の手ごたえは上々だった。欲を言えば一撃で全滅させたかったけど、この合技は実戦で使うのも初めてだし、相手は本戦まで勝ち残った猛者ばかり。半数には凌がれた。

 それでも、次の一撃で仕留めればいいだけの話さ。体勢を崩すことは出来たんだから。

 だからジャーニーとアイコンタクトを交わして、続けざまに二発目の合技を放った。

 直後のことだ。

 〝突如として街中に現れた何重もの乳白色の絶壁が、私達の合技を悉く防いでのけた〟。

 まるで、半壊していた他のペアを護るように。

 一瞬で包囲網と分断され、私達は孤立してしまう。

「なっ」

 燃え盛る炎壁のような乳白色の光の壁。色めき立ち、街中を横断する天然のオーロラじみた超質量の光のカーテン。いきなり目の前に断崖絶壁が現われたみたいで、どの湯煙と同じくらい背の高いその大壁にたじろぐ。

「チッ、早速来やがったな!」

 ジャーニーが舌を打って、すかさず私を護る為にステップバックした。唇を噛みながら、この試合で一番の懸念点である東部地方最強ペアの情報を思い出す。

「ごめん、撃つタイミング遅すぎた! だから、きっと追いつかれて、」

「くよくよすんな! タイミングは悪くなかった! こいつらが早かっただけの話だっ!」

 ジャーニーがそう言った、刹那。

 戦場を縦横無尽に横断し、〝分断〟する乳白色の絶壁をすり抜けるように一組のペアが飛び込んできた。

 片や真紅の大鎌を背負った赤いドレッドヘアの女性。筋肉質な浅黒い肌と大柄な体躯は獰猛な肉食獣を思わせ、着ている協会制服も獣皮を鞣したライダーススタイル。

 またその一歩後ろにぴったりとつけているのは、乳白色の大盾を構えた研闘師。色素の薄い肌と目の色は真っ白く、オーバーサイズのパーカーのフードを目深に被って、鼻筋まで丸々と覆うシールドマスクを付けている。

 間違いない、『蠍座』ペアだ。

 現在、この東部地方本戦で総合一位につけている殿堂入りの号持ちコンビ。

 その戦闘スタイルは単純明快で、強力無比。

「くるぞ!」

 ジャーニーが鋭く叫んで腰を落とすと同時に、赤いドレッドヘアの『蠍座』が大鎌を目一杯振りかぶった。

「ちったァ楽しませてくれよォッ、ガキィ!」

 好戦的な咆哮と共に振り抜かれた大鎌は、その武器としては特殊すぎる形状もあって、奇形な円弧を描いた軌道でジャーニーに襲い掛かる。咄嗟に防ごうと黒剣を振り上げたジャーニーだけど、ひとたび真紅の大鎌と触れ合ったが最後。

 『蠍座』が巧みに大鎌を引き付けると、鍵爪のようなその切っ先が釣り針じみてジャーニーの黒剣を引っかけ、瞬く間に黒色少女の体勢を崩してしまう。

「ぐ、ぅ!」

「ジャーニー!」

 咄嗟にジャーニーの前に入って大鎌を斬り払おうとした、その時。

 『蠍座』が大鎌を使ってジャーニーを引き寄せたことで生じた、私と彼女のほんの数歩の間に、間髪入れず目深なフードの『銀河』が滑り込んできた。

 強固で堅牢な大盾に長剣を弾かれ、思わず唇を噛む。

「おまえのあいて……うち」

 何度も映像を見たはずなのに、実際相対してみると連携の練度の高さに舌を巻く。

 そうして次の一呼吸では、『蠍座』が大地を踏みしめ、己が身体の一部のように大鎌を旋回させながらジャーニーを後方に投げ飛ばした。また一方で、『銀河』が大盾を前面に構えながら突撃してきて、私も弾き飛ばされてしまう。

 『蠍座』ペアを間に置いて、互いに、正反対の方向に。

 やられた。

 悟った時には、もう遅い。

 この『蠍座』ペアの戦闘スタイルは、圧倒的な〝個の力〟を生かした分断と各個撃破を主体とする攻撃的なもの。

 潜伏と強襲を得意として、絶対的な防御力を誇る『銀河』がその号の由来ともなった乳白色の光壁で相手ペアを分断し、足止め。そして全研闘師の中でも、〝単純な斬り合いならば最強〟と囁かれる『蠍座』が近距離戦を演じられる状況を作り出す。

 〝蟲毒牢〟。そう呼ばれる蠍座ペアの合技の対処法は一つ。

 分断されないように立ち回る……ことでさ。私達も気を付けてはいたけど、こんなにも簡単に陣形を崩された。素の力量に差があり過ぎるんだ。

「うし、背中は任せたぜ、相棒」

「うい、たのしんできなよ……あいぼう」

 『蠍座』ペアが背中を合せながら拳を合せる。直後、『銀河』が大盾を鋭く地面に突き立てると、その一点より放出された乳白色の絶壁がジャーニーと『蠍座』を四角く囲んでしまう。

「さて」

 冷や汗を拭いながら長剣を構えなおす私に、『銀河』がマスクとフードの奥から、凍てつくような視線を寄越す。

「うちらは、どーする? にげるなら、ほっとくよ?」

 喋ることに慣れていないようなか細い声音。自信がなさそうで、恥ずかしそうで。でもその佇まいに揺らぎはなく、巨大な威圧感を以て立ち塞がっている。

 いくらジャーニーでも、『蠍座』相手に勝てる程じゃない。事前にモランジェと予習した段階で、ジャーニー自身が言っていたんだ……まずい。

「……お優しいんですね。『銀河』さんなら、私なんて簡単に倒せるでしょうに」

「デワルス、いってた……おまえ、きけん。よく、かいたらだめ」

 『銀河』は自分の身長ほどもある亀の甲羅みたいな大盾を前面に構え、半身に体勢をとった。

「でも……ひとりじゃよわい、のもじじつ。うちのまもり、おまえ、どうにもできない。いつもどおり、やれば、もんだいない」

「付け入る隙も無いですね……全く、もぅ」

 ため息を吐いて、私も長剣を上段に構えた。

「なら、正面突破といきましょう。力勝負には自信があるんです」

「……すきにしろ、どうせ、むだ」

 一呼吸の後、踏み込んで斬撃光を放とうとした刹那。

「っ!?」

 同じく踏み込んできた『銀河』が目前へと迫って瞠目する。速い!?

 ただ、それでも怯まず長剣を振り抜いた。

 でも『銀河』はといえば私の斬撃に合わせて僅かに上体を落とし、大盾を背負い込むようにして角度をつける。するとその丸みを帯びた乳白色の面の上を滑るように私の斬撃光が受け止められ、次の瞬間には手首の返しと共に、遥か上空へと斬撃光を丸々弾き飛ばされてしまう。

 身の丈ほどの大盾を扱っているとは思えないほどの繊細な弾き(パリィ)の技術。

「つたない」

 瞬く間に私に肉薄した『銀河』は、大盾で殴りつけるようにして迫って来た。辛うじて飛び下がりつつ長剣で凌ぐけれど、それ以降も『銀河』は私を至近距離でマークしてくる。

 これまで私を包囲してくる相手はみんな、〝ぎりぎり私の有効射程に入らない距離〟を保ってきた。それは一度私の間合いに踏み込めば、どれだけ剣に自信があろうとも、私の斬撃光の威力に耐えきれないからだ。

 でも『銀河』は違う。白色の宝剣を使っているってことは、光力適正にも優れているってことだ。多分私ほどじゃなくても、普通の人とは比べ物にならないレベルで。じゃなきゃ戦場を分断するような光壁をぽんぽん出せはしない。

 そんな光力を持つ防御特化の相手なら、私の有効射程内に入っても問題なく行動できる。

 そして近付いてこれるってことは、私が苦手とする近接距離での戦闘を強いられるわけで。

「ぐ、このっ!」

 肉薄してくる大盾を前に、私は歯噛みしつつも下がることしかできなかった。なんというか、山そのものがにじり寄ってきているみたいな圧迫感なんだ。ぴったりと剣一本分の間合いを保ちつつ、私が何かアクションを起こそうとすればすかさず寄せてきて、行動の出鼻を潰してくる。そうしている間に、どんどんジャーニーが囚われている〝蟲毒牢〟から離されていく。

 何も出来ないまま。

 このままじゃ駄目だ。考えろ。なんとかしてこの状況を打開できる術を見つけろ。私が『銀河』に勝つ必要はない。ジャーニーを助けることを一番に考えるんだ。

 意識して思考を動かそうとして……でも、そうやって手元が疎かになった一瞬。

「ほら、そういうとこ」

 一瞬の隙を縫って迫って来た『銀河』が、大盾の石突部分を振り上げてアッパーカットを放ってきた。もろに脇腹を抉られてしまい、吹き飛ばされながら噎せ返る。

 息が出来ない。頭が、目が、回る。思考が、止まる。

「あたまでっかち。〝たたかうの、なれてない〟」

 指摘されて、目の当たりにして解る。

 圧倒的な実戦経験の差。そりゃそうだ。この四年間サボってた私と、五年以上も連続で中央決戦まで勝ち残って来た〝殿堂入り〟じゃあ経験の差なんて一目瞭然。私がいちいち意識して考えて、意識して行動していることを、この人たちはきっと肉体反射じみた速度でやってのける。それも私よりも精度が高く、強靭に、無数の選択肢を持った状態で。

 〝やっぱり〟正攻法じゃ勝てない。吹き飛ばされた後に這いつくばりながら、思い知る。

「げほっ、ごほ……」

 咳き込みながらも見上げると、『銀河』が白色の凍てつくような瞳で見下ろしてきた。

「まだ、つづける?」

 温泉街の路地に立ち塞がる『銀河』は、その号の通り、まさしく遥かな天の川だ。星空に浮かぶ恋人を気が遠くなる年月、引き裂いてしまう莫大な光の壁。

 決して超えられない、高い壁。

「ま、だ、」

「それと、きづいてる」

 私の言葉を待たずして、『銀河』は再び大盾を地面に突き立てた。すると放射状に迸った乳白色の光が地中より吹き出し、〝周囲に潜伏していた他の組〟に襲い掛かって後退させる。

「まだ、まわりに、おまえたちほういしてたやつ、いる。さがりつづけて、うちをゆだんさせて、そいつらにすきをつくらせる、さくせん?」

「……ちぇ。そこまでお見通しですか」

 私が戦いながら必死に考えていた打開案は、彼女が言う通りだ。私達が半壊させた包囲網の残党はまだ残っている。『蠍座』ペアがこれ以上私達に得点させないために守ったからね。

 だから混戦に持ち込んで、その人達に隙を作ってもらおうと『銀河』を釣り出したんだけど……そう上手くはいかないみたい。

「しょうめんとっぱ、いっといて……さっそくもぶだより? ひきょう」

「生憎と皆さんお強くて、なりふり構ってられないもんで」

 再び長剣を上段に構えながら息を整える。ぶっとばされたせいで腹回りと背中、腕がとにかく痛む。護光チャームはあくまでも致命傷を肩代わりしてくれるだけで、痛いモノは痛いんだ。

 でも……正直、その痛みが心地よいって思ってるって言ったら……おかしいかな。

「……なんで、わらってる?」

 数メートル先で、ぴったり私をマークしたままの『銀河』が白い目を細くさせた。

「いや、なんというか……嬉しいなって気持ちと、馬鹿だったなぁって気持ちと、色々湧いてきて。昔の自分に今の自分を見せてあげたいんです」

「……まぞなの?」

「初対面でそんなこと言います? いやまあ、そう見えるかもですが、そうではなくて」

 思わず突っ込んでしまいながらも、『銀河』越しにその背後に目をやる。

 聳える〝蟲毒牢〟は数十メートル先。四辺を乳白色の絶壁で囲われた不可侵の牢獄。私ならぶっ放せば壊せるかもだけど、『銀河』に阻まれて斬撃光自体が届かない。

 でも一つだけ、突破口はある。

 元々この状況に陥った時の為に、ジャーニーと考えていた対処法だ。

 正直うまくいくかは微妙な所だけど、でも、〝これまでの『銀河』との打ち合いで可能性の芽は感じられた〟。

「私、この四年間サボってたんですよ。剣を振るのも怖くて、山奥に籠って。自分は、何かを壊すことしかできないんだ、傷付けることしかできないんだ……研闘師は闇から人を護る仕事なのに、私には、大切な人の一人も護ることができないんだって、そう思ってたんです」

 構えた長剣の柄を、握り込む。

 〝予選から通して、このサンライズフェスタで初めて、全力で〟。

「でも、自惚れてたなって貴女を前にして思います。私程度じゃあ、一人じゃ、何も出来ない」

 刹那、長剣の刀身が閃光した。周囲一帯の闇を打ち払い、塗りつぶすような爆炎じみた純白光。莫大な輝きに伴って熱を帯びた長剣の周りの空気が屈折し、濃密な光力の渦が大気を捻じ曲げて、湯煙が霧散していく。

「なら、本気でやったって良い。いや、やるべきだ。私の剣なんてものともしない強い人達がいっぱいいるんだから……何より」

 足を大きく開き、腰を落として、力の限り長剣を振りかぶる。光力が上昇して重量を増した長剣は普段の何十倍も重い。まるで巨人の剣でも持っているみたいだ。そんな愛剣へと、痛む腕や背中の筋力を総動員する。

「世話の焼ける、最高にかっこいい相棒が、そんな私の剣を頼りにしてくれていますので!」

 叫ぶと、大盾を構えて防御姿勢を取った『銀河』が目尻を緩ませた。

「へぇ……いいじゃん」

 そうして次の瞬間、彼女の大盾からも乳白色の光が放たれた。大盾を覆い強化するような閃光。宙でせめぎ合う濃密な光の濁流は弾けた途端に粒子となって溢れかえる。

「そういうの、うちも、すき……でもあいぼうは、うちが、まもる」

 私は踏み込み、渾身の力で長剣を振り抜いた。対して『銀河』は大盾を地面に突き立て、力の限り踏ん張る。相反する二色の白色が、鋭い刃と分厚い壁と成って衝突する。

 轟音。電車が最大速度で正面衝突したような、あるいは鐘が思い切り叩かれてひしゃげるような重みのある音圧が夜空を軋ませ、衝撃波が温泉都市ミントゥを地盤から揺らがす。

 私はそんな渾身の斬撃光の行く末を見つめた。全力を放った反動で体から力が抜けていくけど、その分路地を覆う程の特大の斬撃光を放つことが出来た。

 実際、その三日月形の光の砲撃を受け止めた『銀河』は後退を余儀なくされていた。両手で大盾を支えて、必死に踏ん張っても威力を殺しきれていない。でも同時に、あちらの全霊を込めた防御姿勢は仰け反りこそすれど崩れもせず、数秒の硬直を経た、直後。

 その乳白色の大盾に亀裂が走った、刹那。

「だ、ぁっ!!!」

 『銀河』が腹の底から咆哮した。透き通るようなか細いはずの声に力が籠もり、その気合に応えた大盾がひときわ強く光を放つ。

 そして次の瞬間、『銀河』は鋭く身を沈めると同時に大盾をかち上げ、私の全力の斬撃光を、完璧に上空へと弾き飛ばして見せた。

 卓越した弾き(パリィ)の技術。最初に私の斬撃光を弾いたのとまったく同じ、完璧な防御。

 というのも、『銀河』が上空へと私の斬撃光を弾くのには理由があるんだ。

 そもそも一々受け止めていたら非効率な威力の斬撃光を、護るべき背後に受け流すわけにもいかず、かといって周囲に弾けば私に占領点を与えることになる。なんなら、さっき『銀河』が追い払いはしたけど、潜伏している他の組が居てその人達に当たっちゃうかもしれないし。そうしたら撃破点まで私のモノになる。

 つまり上空に弾き飛ばして、何もない空で炸裂させ、無駄撃ちにさせるのこそが最も効率的で完璧な防ぎ方。

 それをまた、やられたんだ。

「やるじゃん、うちのたて、ひびいれたの……さんにんめ」

 シールドマスクの下から賞賛を口にしつつも、『銀河』は勝利を確信した様に続けた。

「でも、うちの、かち」

「……いやほんと、凄いですね。完敗ですよ、私〝は〟」

 力が抜けてなお、見栄を張るように長剣を構えて立ち続ける。燃費の良さには自信があるんだけど、やっぱり本気で撃つと息が切れる。大隕石の上でジャーニーの力を借りた時よりかはマシだから取り繕えるケド……とにかく、少しでも消耗しているように見せちゃ駄目だ。

 〝後は、それだけで勝てるんだから〟。

 訝しむ『銀河』に、空に弾き飛ばされた斬撃光の行方を指さして教える。

「でもこの勝負、〝私達の〟勝ちです」

 はっとして『銀河』が振り返ると、初撃と全く同じ軌道で空へと弾かれた斬撃光は、けれどもその高度が思った以上に上がらず、弧を描いて落下し始める。良かった、私の本気の〝重さ〟は、きちんと想定通りに作用してくれた。

「まさかっ」

 唖然とした『銀河』が見上げる先で、落下していく斬撃光の挙動が更に一段階変化する。

 それはまるで、着弾点……〝蟲毒牢〟の中へと、〝引き寄せられるみたいに〟。

「私が後ろに下がったのは、盾の圧力に耐えられないように見せかけて『銀河』さんを釣りだし、他の組との混戦に持ち込んで隙を誘う」

 悔しそうに目を細めて振り返った彼女に、続ける。

「〝ように見せかけて〟、私の全力の斬撃光を貴女が弾いた際、丁度あの蟲毒牢の中に光が墜ちるように投射角を調整する為です。一発目で軌道は読めましたから。まあ……正直、ここまで完璧に防がれたのは悔しいですが、だからこそ助かりました」

 次の瞬間、蟲毒牢の中に墜ちた私の斬撃光が炸裂して、再びの轟音が街を芯から揺るがす。

 ぺろりと舌を出して言ってやった。

「正面突破って言うには、これも卑怯ですかね?」

「……ずるがしこいやつ」

 『銀河』は切り替えるように息を吐くと、真っすぐに私の目を見上げてきた。

 背筋が冷える。これで『銀河』が吹っ切れて私を堕とそうとしてきたら、消耗している今の状態じゃ全く耐えられない。

 逆に、私にまだ余裕があるって思わせられたら、ジャーニーとの挟撃の可能性もあるし、きっと……。

「なまえは?」

 はっきりと胸を張って発音する。

「ラファロエイグです」

「……おぼえとく。うちは、ストルム。そっちも、おぼえてろ」

 踵を返した『銀河』は、湯煙の中へと跳躍する直前に言い残した。

「つぎは、まけない」

 きっと、『蠍座』が落ちたと見て生存点を稼ぐ隠密行動にシフトしたんだ。つまり見逃された。

 ほっとして、その場に尻餅をついた。

「……ふぅ。後は頼んだよ、ジャーニー」

 一人で殿堂入りを退けた大金星に小さくガッツポーズをして、呼吸を整えるために、深く息をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る