タイム図書館
一夏の約
第1話 文学に沈む
あの日、此処に落ちた。
どん底には、暗くて、古い図書館だった。
人もない、生き物もない。
まるで、夢の様。
朝、晴れていて、きっといい一日になるだろう。
カーテン越しに差し込む光が僕を目覚めさせた。本当はもう少し寝坊したかったけれど、時間がそれをゆるしてくれない。
学校の生活は楽しいけど、人たちが僕にとって、騒がしいいと思う。
「静かな世界が欲しいな。」
放課後、僕はよく文学部の部屋に通っている。文学部の部長だったが、部員が少なすぎて、廃部になってしまった、そして、僕以外のたった一人部員の迷花さんが泣きそうな声でこう言った。
「大丈夫です、本はここにありますよ!ほら、本がある所に文学があって、だから文学部もあるんですよ。」
彼女の口調は軽かったが、涙は零れていた。多分、彼女は本当に文学部が好きだったのだろう。
これから、一年間にも出会わないでいた。
時が流れ、毎日旧文学部に通っても僕は一人きりだった。廃部から一年経った。今、懐かしい部屋に足を踏み入れても、あの頃の楽しさはもう、どこかに消え去ってしまった。
ドアを開けた瞬間、言いようのない不安が襲いかかり、僕は一歩足を踏み出して、空気に込んだ。
死ぬのか生きるのかも分からない。無重力の感覚が体を引き裂いそうで、まるで海に沈むようだった。
「文…」
無重力に引き込まれる感覚の中で、僕は意識を失った。
気が付くと、どん底にいた。
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