第4話

『私はミラ、人間になりたいと思ってる人形よ』


ミラと名前の可愛らしい女の子の人形が舞台に出てくる。




『知ってるかしら?生きてる人形達の夢物語を……』




『それはどんな話だ?』


次に出てきたガンマンの人形が尋ねる。




『人間に愛された人形は、何と人間になれるのよ!!』




『へぇ、それはスゴいな…でも、生きてる人形なら誰でもなれるのか?』


ガンマンの人形は首をかしげる。




『簡単にはなれません』


舞台のソデから中国服の人形が出てくる。




『簡単にはなれない?』




『人間になるには条件があるんです』




『条件?』




『たった一人の人間に15年の間、大切にされないといけませんーーーーーーーーーー…』


中国服の人形はゆっくりと見ている子供達に語りかける様に話す。






「じゃあ、私の人形も人間になるのかな?」




「大切にしないとね」




「うん、大切にする」


人形の言葉を聞いて、女の子は嬉しそうに母親に話している。






『ーーーーーーーーーー…でも、人間になるには絶対に守らないといけないルールがあるんです』


中国服の人形は少し言いにくそうに話す。




『勿体ぶらずに教えろよ』


ガンマンの人形は体を振りながら言う。








『ーーーーーーーー…もし、人間に見つかったら最後、その人形は一生ただの人形になってしまうわ』


女の子の人形は二人の間に割って入って、お客さんに向かって言った。






『ーーーーーーーーーー…本当に俺達は人間になれるのか?』




『ーーーーーーーーーー…わかりません』


ガンマンの人形と中国服の人形はションボリする。








『でも、私は信じてるわ!!きっと誰かが私の事を人間にしてくれる事を!!』




『そうだな!!人間になれる日を信じないとな!!』




『奇跡を信じましょう』


女の子の人形の言葉にガンマンの人形も中国服の人形も勇気を取り戻した。






パチーーーーーーーーーー…




パチパチーーーーーーーーーー…






パチパチパチーーーーーーーーーー…






お客さんの拍手を受けながら幕が下がっていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る