第52話

『キミ誰?』


小村は勇斗に言われた言葉がショックだったのか、ずっと上の空ーーーーーーーー…






「ーーーーーーーー…あの」


「!?」


小村の前に勇斗が立っていた。


「ーーーーーーーー…ちょっと話そうか?」












中庭に来た二人ーーーーーーーー…


「ーーーーーーーー…早速なんだけど、あの子…ヒカリに…何したの?」


「………」


小村は黙っている。


「ーーーーーーーー…ヒカリがキミに何かしたかな?それなら俺のミスだから謝るよ」


「………」


「ーーーーーーーー…もしかして、俺に何かある?」


「………っ」


小村は少し冷や汗をかいている。


「ーーーーーーーー…俺さ、ちゃんと話して貰えば分かるよ」


勇斗は小村の言葉を聞きたかった。




「ーーーーーーーー…だから、俺の事なら何でも言って……」




「好きです」




「ーーーーーーーー…えっ?」


勇斗は小村の言葉に固まった。




「ーーーーーーーー…えっ?好き!?えっ俺!?」




「最初は見てるだけでよかった………遠くから見てるだけでよかった………だんだん止まらなくなって」


小村は涙を拭きながら話を続けた。




「勇……っ、竹之内君は女の子に人気あるから……あの子だけが特別なのもわかってーーーーーーーー…くやしくて……悲しくなって……」


「ーーーーーーーー…」


小村の本音を聞けて、勇斗は気持ちが楽になった。




「ーーーーーーーー…ごめんね、小村さんの気持ちには応えられないけど………好きって言ってもらえたのは嬉しいよーーーーーーーー…ただ、あの子は大切な子だから何もしないであげて………」


「…はい」


「ーーーーーーーー…それじゃ、またね」


「…また」


勇斗と話せた事に小村の気持ちは整理されたのかスッキリした顔で教室に戻っていった。











「ーーーーーーーー…松蔵」


人並みの中に心晴の姿を見つけた。




「ーーーーーーーー…ありがと」




「別に、大した事はしてへんよ」




「ーーーーーーーー…謙遜しなくても良いと思うけど」




「うっさい!?」




心晴はスタスタと教室に歩いて行った。






「ーーーーーーーー…礼を言っただけなのに、いつも怒られてる気がするのは何でだろ」


勇斗は歩いていく心晴の姿を見ながら首をかしげる。

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