第36話

幼稚園の帰り道




「ーーーーーーーー…」

(また何かあったのか)


後ろを歩くヒカリの異様な雰囲気に勇斗は頭を捻っていた。






「ーーーーーーーー…そうだ、コンビニ行こっか」


「………コンビニ?」


「ーーーーーーーー…そう、グミでも買うか」


「グミ…?」


ヒカリの表情が少し変わった。













「いらっしゃいませ」


「ーーーーーーーー…すみません、グミってありますか?」


「グミですか……」


勇斗と店員は足早に移動した。








びゅおーーーーーーーー…


「わっ!!!?」


その後ろでヒカリの帽子が風に飛ばされた。






「あっ、あーーーーーーーーっ」


風に飛ばされて、ヒカリの帽子が遠ざかっていく。




「ぼうし~っ」


ヒカリは夢中で帽子を追いかける。




気付かない内にヒカリは車道の手前まで来ていた。




『パッパーーーーーーーー!!!』


目の前を車が走る。




「!!!?」


あまりの驚きにヒカリの身体が固まる。








フワッーーーーーーーー…




「危ないよ」


目の前に帽子を持った心晴の姿ーーーーーーーー…




「………」


ヒカリは一瞬の出来事に目を見開く。




「はい、ココは車が多いから気を付けなアカンで」


心晴はヒカリに帽子を被せながら話す。




「…ありがとう」


ヒカリは心晴の顔をボーッと見つめる。






「……勇斗の…妹…?」


心晴はゆっくりな口調で尋ねる。


「イサトおにーちゃん、しってるの?」


「うん…」


「でも、ヒカリはイサトおにーちゃんのイモートじゃないよーーーーーーーー…ヒカリのパパいなくなっちゃったから、いまはイサトおにーちゃんがヒカリのパパなんだよ」


ヒカリの話を聞いて心晴は驚いた。






「………そっか、大丈夫やアンタは」


心晴はヒカリの目を見ながら、ゆっくりと話した。













「イサトおにーちゃんだ」


コンビニの前でヒカリの姿を探している勇斗の姿があった。






「ほら、早く行かな……アイツが心配するで」


「うん」


心晴に背中をポンッと押されて、ヒカリは勇斗のいるコンビニの方に走っていった。




ヒカリは途中で心晴の方に振り返った。


「バイバイ!!おねーちゃんっ!!」


ヒカリはまたコンビニの方に走っていった。
















心晴はヒカリの後ろ姿に何かを重ねているように見えた。

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