第17話

「おはよう」


「おはよっ」


母を筆頭にゾロゾロと食堂に家族が集まる。




「おはよーーーーーーーー…って、何してんの勇斗?」


汐莉は台所でオニギリ作りに勤しむ勇斗の姿を見て尋ねる。


「ーーーーーーーー…何って、オニギリ作ってんだよ」


「えー何…オニギリ?もしかしてヒカリちゃんのお弁当?」


「ーーーーーーーー…そうだよ」


「アンタ本当にちゃんとやってんだね」


「ーーーーーーーー…そりゃ、言われた事はやるよーーーーーーーー…第一姉貴が面倒みろって言ったんだろ」


「そう言えばそうだったわね」


汐莉は笑いながら食堂のイスに座った。







ーーーーーーーー…ガチャ


「おきたよ…」


目を擦りながらヒカリが食堂に入ってきた。






「……………」


「……………」


オニギリを作っている勇斗の姿をヒカリは無言で見つめている。




「勇斗ね、ヒカリちゃんのお弁当を作ってるんだよ」


汐莉が優しく微笑んで言うと


「ーーーーーーーー…ちょっ!!言うなよ姉貴」


勇斗は恥ずかしそうに言った。




「ヒカリの……」


ヒカリの表情がパッと明るくなった。


その顔を見ると、勇斗の顔も自然と柔らかくなった。




「ーーーーーーーー…じゃあ、今の間に着替えておいで」


「はいっ」


ヒカリは小走りで食堂から出ていった。















「良い子だねぇ……」


「ーーーーーーーー…ぅん」


「雅史おじさん、早く帰って来てあげたら良いのに」


「ーーーーーーーー…ぅん」

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