第二章 三人目のリアライザー

第二章 1-1 悪気はない

       * 1 *



 再び鳴り出した目覚まし時計に手を伸ばして止め、俺は布団の中に潜り込む。


 まどろみが心地良い。

 寝不足気味の頭は靄がかかったように覚醒することはなく、冬場の朝の寒さを逃れて、俺は頭まで布団の中に潜り込んでいた。


 ふと、何かが横っ腹に触れた。

 布団の外かららしいその感触が、つつくように脇腹を攻撃してくる。

 何かを言われているような気もしていたが、まどろみに沈む俺の意識は言葉の意味を理解しない。


「くっ……」


 執拗な攻撃を無視していると、突然布団のぬくもりが消えて、冷たい空気に包まれた。


「うぅーー」


 掛け布団を探して目をつむったまま手を伸ばすと、何か暖かくて柔らかいものに触れた。

 つかんで引っ張り込んで両腕で抱き締める。

 布団ではないみたいだが、暖かく、柔らかく、いい香りのするそれは、布団以上に心地が良い。


 ――あぁ、この感触……。柔らかくて、でもほどよい弾力があって……。


 ちょうど顔に当たる極上の感触に頬をこすりつけていると、なんとなくそれに憶えがあることを思い出した。

 ゆっくりと目を開け、ふたつの膨らみの間から上目遣いに彼女の顔を見る。


「えっと……」


 即座にぬくもりを手放して折り畳みベッドの上で出来るだけ距離を取った俺だが、昨晩の戦闘のときにも見せなかった、碧く燃え上がるほどの怒りを宿す瞳をしたエルは、高く上げた右手を振り下ろした。


「この不埒者!」

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