14 クラゲ




水族館の入り口をくぐった瞬間、ふわっと潮の匂いがした__________気がした。


それより目に飛び込んできたのは青く光る水槽の世界だった。


「うわ〜…めっちゃ綺麗……」


思わず口から漏れた言葉に、隣の川島がうんうんと頷く。


「癒される〜!!!水の音も良き。」


「うん、なんか異世界?みたいっ!」


壁一面に広がる水槽には小さな魚たちがすいすいと泳いでる。




「ね、クラゲ行こ」


「__________え、怖くない?毒だよ毒!」


「なにそれ。浅野みたいじゃんクラゲって。」


私はちょっと馬鹿にされた気がして、でも川島が歩き出すのを見て慌てて追いかけた。




§






中は少し暗くて足音が響く。


平日の昼だからかジャージの人たちばっかり。


水槽の青い光が通路を照らして、どこを見てもキラキラしてる。



「あっ見て、あれクラゲじゃない?」


「ほんとだ_________!」


川島が指さした先には、まぁるい傘がゆっくり上下してるクラゲたち。


何考えてるんだろ。


ご飯のこととかかな?


ふわふわとただ漂ってる。


なんか、すごい静か。


「綺麗」


「でしょ?やっぱりクラゲって癒されるよね」



川島の目は優しくて、存分に満喫してる気がする。


ふだんの適当な感じと比べると、少しだけ。


大人びて見えた。



「なんで毒あるのに綺麗なのかな」


ふと疑問に思ったことを口に出す。


「あれみたいじゃない?えーっと、美人は毒がある。みたいな、なんだっけ?」

「あははっ!知らないよっ!!」


「あっ、この青の長いやつ。」


「えっ?どれ?」


「これ、月島君みたいじゃない?」


川島が人に例えるの珍しい。


でも、納得しちゃう。



「あ、確かに。なんか冷静そう。このクラゲ、他のに比べてかっこいいし」


「あれ?浅野に川島じゃん。」


すっごく嫌な予感する。


「あっ、末次じゃん。」


なんで反応するのよ川島のばか。


「おひさだね」

「うす。あれ?凛は?」


むっ。煽ってるよね。


「他クラスだからどこいるかわかんない」


「_______浅野、末次の後ろで隠れてるつもりのやつはどうする?」



え?


「誰?__________あっ」


石田だ。


天晴って言ってたねそういえば。


「猿と2人で動いてるの?」

「お前いまだに猿呼びなんやな。」


すっごい笑ってる。


怖い。


「もうすぐイルカショーあるらしいけど、行くん?」


「あ、どうしよっか?」

「イルカショー行こっ!」


イルカショー見たい。


イルカって、可愛いじゃん。


頭いいし。

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