21 拝啓




「隆也くん___出てきて。話がある」


『んだよ。』



「なんであんな事したの___?隆也くんは、あんな人だったの___?」


『____月島凜の体に入ったのは理子に伝えるため。___知ってるか?冥界での掟。冥界で、というよりも人界に残る霊の掟。』



知るわけ無いじゃん。




『__人界に残るは40目の命日までに冥界に戻らねばならぬ。之を守らなかった場合には、其方そなた精気は悪となり、生を持つ者共に害をなし、悟性理性を失うことになるだろう。』



_____。まだ40年経ってないでしょ。


冥界って、天国ってことでしょ?


そんな掟あったんだ。


『本当はもっと前に理子に伝えたかった。だけど俺は。誰にも見えない。聞こえない。じゃあどうしてたら良かったんだよ。もう一つの掟にあったんだよ。___【心に誠の思いが残っている場合に限り、冥界への切符も得ることはできぬ。40目の命日を待たずして其方の精魂は悪となるだろう。之は生を持つ者の体に其方の精魂が入るその時に起こるであろう。】って。制御できねぇんだよ。俺だって。途中から記憶がねぇんだよ。冥界にすら行けねぇんだよ。相手がいねぇから。』



相手がいる___物___。


「__まだ、心残りがあるってこと__?」


『___まぁそういうことになるな。』


理子さんのだけじゃないってことは、死ぬ前に思ったこと、ってこと___。


『死ぬ前に思ったことはな、1回普通の恋をしたい。それだけ。』


「あー。じゃあほかを当たってもらわないと。私好きって感情が今よくわかってないから」


友達川島にはね、ふと無意識に、ぼーっとしてる時に思い浮かぶ顔。その人のことをもっと知りたいって思う人。って言われてる」



『恋ってなんだろうな。月島凛に聞いたほうが早そうだよな。』


「なんで月島?」


「あいつ、どう見ても恋してるだろ。好きな人いるだろ。__でもお前にはわかんねぇかもな。あの月島凛しか知らねぇもんな。」



_______________ズキってした。



「そ、か___。じゃあ、今何も考えずボーってしてみてよ。思い浮かんだ顔があるならその人のことが好きらしいよ」



目を閉じて無言になった。



『それがほんとなら、俺は今、理子が好きってことだな。』


「手紙書いてみちゃう?ラブレターっ!」


悲しそうに、苦しそうに、首を振った。


『無理。俺、触れないもん。』


「せっかく気持ちに気づいたんだから、書いてみちゃうのがいいと思うんだけどね_______」


!!いい案思いついちゃった。


やっぱり私は天才っ!


「私が代筆してあげよっか?」


それなら話すだけだし、気持ちを伝えられる。


『ッ______悪い。』

「む。どっちの悪い?お願いします?拒否します日本語って難しいよ?」


『ははっ。お願いします。』


「ん。承りましたっ」



§




「拝啓で始めるの?堅苦しくない?」

『それでいいよ。その距離感で。』



拝啓 今を生きる理子へ


元気?この間はごめんな。

びっくりしただろうけど、あれが俺の気持ち。


どんなに理子が、苦しんでも。

俺は、過去はもう戻らない。


ごめんな。

好きになってくれてありがとう。

伝えるのが遅くなってごめんな。


俺も、好きだよ。

好きだったよ。


もう幸せになれよ。

もう背負うなよ。


俺の幸せは、お前が幸せになる事だから。


だから、生きろ。


応援してるよ。校長センセ



敬具 14歳の隆也。



「ど?いー感じじゃない?」

『うん。さんきゅーな。』


「えへへ。あーでも、そー考えたら、隆也くんって、私たちの部活の先輩なんだもんね」


『まあ、そーなるな。年齢はお前らの方が上だけど』


「明日の朝、校長が来る前に靴箱にでも入れとく?」

『頼むわ。』


これは、隆也くんの思いだからね。

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