20 綺麗




「なんで、そんな事__するの?隆也くんの要望は叶えたじゃんっ___!!」

「だからだよ。うざってぇな。」


「やめてっ!!月島の顔で、そんな事っ__言わないでよっ!!」

「___月島凛の中身が俺だったら何が変わる?誰も変化には気づかねぇよ。」



___気づくよ。

月島は___そんな顔しないもん。


「私は、末は、石田は、気づくよ。月島は____!!」


手を伸ばしてきた。


「やめてっ!触らないでっ!!月島を、返してよっ!!」


「浅っ___さん___。」



やだよ。


なんでそんな不格好な顔するの。


半分半分で顔違うなんておかしいよ。




「____月島___お願い。戻ってきて___。チョコくんは、モカちゃんは__?ココちゃんに、マロくんは、どうするのっ___!みんな待ってるよ___」


「浅野さ、泣か_いで_?笑って_?」



困ったように。


苦しそうに。


優しい顔で。


笑った。



_____今の私にはどうすることもできなくて。


気がついたら抱きしめる形になってた。



「やだ、やだ、戻ってきて___」


背中に回した手に力が入る。


背中に手を回された。


「浅野さん。ありがとう。ごめんね。」


頭を撫でられた。


声を上げて泣いた。



良かった。




____



§







月島side____________________




校長室に入ってからの記憶がほとんど無い。



あっても途切れ途切れ。


頭が痛かった。



ずっとぼぅっとしてた。



意識があるときの浅野さんは、苦しそうな顔してた。


「触らないで」


効いた。


こんなに、「拒絶が苦しいんだ」って。



感じたことがない苦しみ。



「みんな待ってるよ」


って。なんでこんなに泣いてるの?


泣かないでよ、笑ってよ。



抱きしめられた。



頭が痛い。



体がだるい。




ッ____




すぅっと。体が楽になった。


いきなり。



「浅野さん。ありがとう。ごめんね。」



びっくりしたように顔を上げて。


胸に顔を埋めて、声を上げて泣き出した。



どうしたら良いかわからなくて、頭を撫でた。





何分、こうしてるんだろ。




「浅野さん。帰ろう。家へ。」


「___うんっ__」


へにゃりと笑って立ち上がった。


「そら、綺麗___」



ロマンチストは、ここで君のほうが綺麗、とか言うんだろうけど。俺にはそんな勇気なし。ましてや、付き合ってもない。



告白できればいいのにね。


勇気があればいいのに。



「うん。ほんとに。」



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