9 バレンタイン②

声を掛けるといつもと少し違った友だちがいる。

ほんのり化粧をしていたり、ふんわりと髪を巻いたり。学校とは少し違った一面。

不覚にも少しドキッとした。そんな私も今日は少しだけおしゃれをしているつもり。


いつもはゆったりとした黒色の長めのズボンにYシャツにセーター重ねましたみたいな服、肘まである髪は高めのポニー。


でも今日は、薄いベージュ色の少し大きめのトップスに白チェックのミニスカ?キュロットパンツ?上着には少し濃ゆめの水色のダッフルコート。まだ寒いから白のマフラーに黒のショートブーツ。お気に入りの桜色のリップ。最後に緩く編んだおさげの三つ編み。私の趣味を全詰めしたようなファッション。


やっぱり持つべきものは年の離れた従姉妹いとこ。お下がりの服をこれでもかと言うほどくれる。しかもセンスはピカ一。


私のお気に入りの服だ。


7人。全員揃っている。




お昼に集まり、皆で色々と遊びまくったらもう3時。そろそろ解散する。



琉奈は末次にバレンタイン渡さなくていいのかな。まあいいか。関係ないし。


スマホを取り出し、月島と末次に連絡をいれる。


“ねえねえ、余ったけどいる?”


2人ともすぐに既読がついた。どうせ二人でゲームでもしていたんだろう。


““いる””


かなり早い返信に思わず笑いが出た。


“はーい。琉奈が末次のお家教えてくれたから行くね”


校区なので遊んでいたところから15分くらいで末次の家についた。


マンションで、1101らしい。


『末次、ついたから降りてきて』

『呼び鈴押せよ』

『ならあげない。全部月島に上げる。じゃあまたね。』

『まて、ごめん。ください。趣味なんでしょお菓子づくり』

『よろしい』


2,3分待つと降りてきた。まあいつもの末次だ。


「なんでお菓子作り趣味なの知ってるの?」

「あーーー。言ってなかったけ?俺、颯希の従兄弟。」

「は。なにそれ聞いてない。」

「まあ今言った。んじゃま、ありがと。月島の家分かるよな?」

「なんか白いお城みたいな家って言ってた。歩いとけば分かるよ。って。」

「あー。うん。間違いではない。地図送っとくよ。」


そう言って末次はスマホを触り地図を送ってきた。ここから2分くらいらしい。


「ありがとう。じゃあまたね」


まあ、ついた。思ってた3倍くらいお城だった。

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